日経平均株価は、5日に31,458円(▲4,451円)と大きく沈んだ後、翌6日に34,675円(+3217円)と反発。その後も概ね堅調な相場展開を続けています。
7日に日銀の内田副総裁の「金融資本市場が不安定な状態で利上げをすることはない」とのハト派的な発言がなされたことによる日銀利上げへの警戒が後退したこと、8日発表の週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、米国経済の底堅さが示されたこと、為替相場がやや円安に持ち直していることなどが影響していると考えられます。
こうした点もありますが、本質的にはこれまで半導体関連への過剰な期待や円キャリートレードによって生じた円安を輸出企業の業績押し上げ要因として買い上がってきたことによって蓄積していた歪が解消されたことが第一の要因と考えます。7月高値(日経平均42,426円)を奪還するにはここから1年以上の時間を要すると考えますが、今後は企業のファンダメンタルが正しく反映されやすくなることに期待したいと思います。
今週は米国経済指標の発表が相次ぎます。13日:生産者物価指数、14日:消費者物価指数、15日:小売売上高・鉱工業生産、16日:住宅着工件数(いずれも7月分)。概ね緩やかな経済減速を示す内容になると想定されますが、過度に下振れすることがない限りは、過剰な反応は生じないと考えます。
懸念材料としては、二つの地政学的問題が挙げられます。
一つはウクライナ軍によるロシア領内への侵攻に対してロシアがどのように反応するかという点。
もう一つは、イランのイスラエルのイスラム勢力への攻撃に対する反応です。7月31日にイスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者がイランの首都テヘランで爆殺されました。また、31日にはヒズボラのフアド・シュクル司令官をイスラエル軍が殺害しました。ハニヤ最高指導者の殺害についてイスラエルは関与を認めてはおりませんが、イランによる報復の可能性は十分に考えられます。現状では原油価格などに変化は見られないものの、イランが行動を起こせば原油相場が急騰する可能性もあります。それ以上に、地域内だけでなく米国をはじめとした欧米諸国やイスラム各国を巻き込んで大きな混乱に発展するリスクも考えられます。