米国株の騰勢が続いています。NYダウは2日に41,563ドルと史上最高値を更新しました。FRBの利下げを視野に米国債利回りが低水準にあることに加えて、足元公表される経済指標がそれほど悪くないことが要因になっているようです。
米国債利回りは、2年債は7月頭の4.8%水準から8月に入って3.9%前後で推移しています。10年債も7月頭の4.4%水準から8月に入ってから3.9%前後で推移しています。米国債利回りの急低下は、8月2日発表の米雇用統計(7月)が、雇用者数、失業率ともに悪化したことに起因しています。その後、21日の米雇用統計の過去分(23年4月から24年3月)の下方修正の発表、23日のパウエルFRB議長の次回FOMC(9/17-18)での利下げを示唆する発言を経て、市場での利下げ幅の見通しが拡大しています。
米金利先物からFRBの政策金利動向を予想する「フェドウォッチ」によれば、年末までに足元から1%以上の利下げをする確率は8月末時点で約7割となっています(日経3日朝刊より)。利下げ幅の拡大は米経済の急減速(懸念)を示すものですが、消費者信頼感指数、個人消費支出(PCE)物価指数など足元の経済指標は比較的保たれています。米株式市場は、大幅な利下げ期待とそれほど悪くはない経済指標という二律背反の“良いとこどり”をしているようにも見えます。
今週は、9/3:ISM製造業指数、9/5:ADP雇用リポート・ISM非製造業指数、9/6:米雇用統計、の発表が予定されています。いずれの指標も特段の悪化は見込まれてはおらず、予想よりも好調であった場合は利下げ幅の予想が後退することも考えられます。その場合の米国株はどちらに動くのでしょうか?利下げ幅見通しの縮小から売られるのか、堅調な経済を評価して買われるのか?まだ“良いとこどり”が続く可能性も考えられます。
さて、日本株ですが為替に対する感応度が高い状態にあるようです。ドル円は7月頭の160円水準から8月頭には144円に低下し、現状は146円水準にあります。米国株の上昇と円高の一服によって日経平均株価は39,000円を伺う水準まで回復しています。今週の米経済指標が好調であれば利下げ幅の見通しの縮小によって、円安に振れることも考えられます。短期的な動きに過ぎないかもしれませんが、輸出関連の値戻しが強まる可能性が考えられます。
難しい局面ではありますが、輸出関連から内需関連へとポートフォリオの組み換えを行う絶好のタイミングと捉えることもできそうです。