先週発表された米国経済統計は市場予想よりもやや弱含んだ内容が多くありました。それに伴い、米国債利回りの低下・米国株下落・ドル安/円高が生じたことによって、(米国株よりもむしろ)日本株は大きく下落することとなりました。ただし、米国経済指標は驚くほど悪い内容ではなかったことなどから、次回FOMC(9/17-18)での利下げ幅見通しにおいては0.5%予想が後退したように見受けられます。
3日発表のISM製造業景況感指数(8月)は47.2と7月(46.8)よりは良化したものの市場予想(47.5)をやや下回りました。
4日発表の雇用動態統計(JOLTS)においては6月分が818.4万人→791.0万人へと下方修正され、7月は767.3万人とさらに下回りました。
6日発表の米雇用統計(8月)は失業率は前月の4.3%から4.2%とへと低下しました。ただし、非農業部門雇用者数は7月分が11.4万人増から8.9万人増へと下方修正され、8月分も14.2万人増と予想(16.0万人増)を下回りました。
一方で、5日発表のISM非製造業景況感指数(8月)は51.5と前月(51.4)並びに予想(51.1)を上回っています。
先週の市場の動きを見ておりますと、株価は、ポジティブ要因としての利下げ期待よりもネガティブ要因としての景気減速の方に反応しやすくなっているように見受けられます。特に日本株にとって米国経済の悪化は、輸出の伸び悩み、(利下げ加速による)為替の円高、という二重のマイナス要因になることから米国株よりもブレ幅が大きくなりやすい傾向が見て取れます。
次回FOMCにおいては、利下げ幅は0.25%が市場コンセンサスと考えられます。しかし、可能性は高くはありませんが0.5%の利下げが示された場合にはFRBが米国経済のソフトランディングに懸念を抱いているとのメッセージに受け止められる可能性があり、特に日本株はネガティブに反応する可能性が考えられます。
また、次回のFOMCではドットチャート(=SEP:FOMC参加者の経済見通し)が示されますが、前回6月において年内1回(0.25%)だった利下げ見通しが何回(何パーセント)になるかも注目されます。9月も含めてあと3回のFOMCにおいて各0.25%ずつというのが中心的な見方であるようですが、それよりも多い(または少ない)ことによって市場は上下に大きく揺れる可能性もありそうです。