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アナリストコラム

11月に向けて次第に緊張が高まる -藤根靖昊-

2024年09月24日

注目された17-18日の米FOMCでは、政策金利は0.50%引き下げられ4.75~5.00%となりました。またドットチャート(=SEP:FOMC参加者の経済見通し) においては、24年は(25ベーシスを基準として)あと2回、25年は4回の利下げ見通しが示されました。

市場予想では0.25%の利下げがやや優勢でしたが、FOMC直前に0.50%の利下げ見通しが広がっていました。パウエルFRB議長はこの利下げに関して「時宣を得たものであり、後手に回らないという決意の表れ」と述べています。為替市場はFRBの発表直後は円高に振れたものの、すぐに円安方向に戻し、現在は143円台後半で推移しています。
これはFOMC通過によって円買いポジションの巻き戻しが生じたことが第一の要因と考えられますが、17日発表の米小売売上高(8月)及び鉱工業生産(8月)が予想を上回り米国経済は底堅く堅調であるとの認識が広がったことも影響していると考えます。米ダウ30種平均は過去最高値の更新を続けていることがそれを象徴しているようです。17日発表の米小売売上高は、前月比+0.1%と予想(▲0.2%)を上回り、同日発表の米鉱工業生産も+0.8%と予想(+0.2%)を大きく上回りました。
17-18日の日銀金融政策決定会合において、市場の予想通り利上げは見送られたことも円安に傾いている要因と思われます。

ここからは、11月の米大統領選挙が最大のイベントとして注目を集めると思われます。トランプ氏およびハリス副大統領のいずれが勝利しても財政緩和策をとると見られていますが、上院・下院も含めて共和党・民主党どちらか一方がすべて押さえることは難しいと見られ、再びインフレを招くような懸念は大きくないと思われます。

現状で最大の懸念は、イスラエル・パレスチナ(ガザ)・レバノン(ヒズボラ)を取り巻く地政学リスクでしょう。17日にヒズボラメンバーが保有するポケベル数千台が一斉爆発したのを発端として、22日にヒズボラが報復としてイスラエルの軍事拠点にロケット弾攻撃を行った。これに対してイスラエルは23日にレバノンに空爆を行い、死者は490人を超えています。ガザ停戦の可能性は薄らぎ、戦線が拡大しています。市場はまだ楽観視しているように見えますが、いつ冷や水を浴びせられるか、警戒が必要です。

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