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アナリストコラム

石破氏の豹変と米雇用の堅調さから円安進む -藤根靖昊-

2024年10月08日

日経平均株価は7日に“高市トレード”によって9月27日に記録した39,829円に迫る39,560円まで上伸しました。7日ドル円が一時149円台を付けるなど円安が進んだことから輸出関連を中心に大きく買われました。この理由には、国内(石破)要因と、米国要因とがあります。
国内要因としては、石破首相の変節が大きいと考えられます。石破首相は、総裁選前はアベノミクス否定派と見られており、利上げ容認姿勢を示していました。しかし、2日に日銀の植田総裁と会談後に「現在、追加利上げをするような環境にはあるとは考えていない」と述べ、方向転換を行っています。また、金融課税強化に関しても「現時点では具体的に検討することは考えていない」と市場寄りの姿勢に変わりました。
米国要因は、4日発表の米雇用統計において失業率は8月の4.2%から9月は4.1%へと低下しました(予想は4.2%)。非農業部門雇用者数は7月分が8.9万人増→14.4万人増へ、8月分が14.2万人増→15.9万人増へと上方修正されたことに加えて、9月分は25.4万人増と市場予想(14万人増)を大幅に上回りました。これより、今後のFRBの利下げペースが緩やかなものになるとの見方に市場予想が修正され、これを受けて米10年国債利回りは直前の3.85%前後から7日には4.0%超まで上昇しています。

日銀の追加利上げの可能性が薄まったことと、米利下げペースが緩やかになるとの見方から為替は円安基調に推移しています。円安に加えて、米ダウ平均が最高値を更新していること、9月24日の中国人民銀行の利下げや住宅ローンの頭金比率引き下げを受けた中国株の急伸もあり、市場では楽観が広がっています。

一方で、イスラエルを取り巻く中東情勢は緊迫感を増しています。イスラエルによるレバノンへの空爆や地上部隊投入は激しさを増しており、さらにイスラエル国防相は「イランへの報復はすべての選択肢を検討」と述べ、原油施設や核施設も攻撃対象とする可能性も示唆しています。原油価格(WTI)は9月末の68ドル台/バレルから78ドルへと上昇しています。

地政学リスクに加えて、円安・原油高が再び日本の内需の押し下げ要因に浮上する懸念も考えられます。前回も触れましたが、総選挙アノマリーによる株高が継続している間にポジション調整を検討すべきと考えます。

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