22日の日経平均株価は一時38,200円(前日比▲754円)まで下落しました。連日上昇を続けてきた米国株に調整が入ったこと、27日投開票の衆議院選挙において自公連立が過半数割れとなる可能性が指摘されていることが主な理由ではありますが、底流には日本企業の競争力低下、欧州や中国経済への懸念、バリュエーション面での過熱感、地政学リスクなど潜在的な不安が存在するものと考えています。
過去のコラムにおいて“総選挙アノマリー”が継続している間にポジション調整を検討すべきと主張してきましたが、自公過半数割れに陥れば“総選挙”の効果が逆回転するリスクも高く存在します。株価上昇の大きな要因であった円安効果も150.9円/ドルまで円安が進行しているにもかかわらず株価へのサポートが効いていない状態です。
何度も貿易統計については取り上げてきましたが、17日発表の9月の貿易統計では輸出が金額ベースで▲1.7%のマイナスとなりました。数量指数は8カ月連続のマイナスで▲6.9%と大きく落ち込んでいます。EU▲9.0%、中国▲7.3%、米国▲2.4%(いずれも金額ベース)と主要な仕向地の殆どでマイナスを記録しています。前年対比で2桁の円安が続いてきたことで輸出数量減少が金額では糊塗されていましたが、メッキが剥げてきたと言えそうです。
日経平均採用銘柄のコンセンサス予想EPS(来期予想および再来期予想ベース)において、前週比プラスの企業数を前週比マイナス企業数が6週連続で上回りました。企業が公表する上方修正・下方修正においても2週連続で下方修正の企業数が上方修正を上回っています。
米国では市場予想を大幅に上回った9月の雇用統計(10/4発表)を境に、経済の強さが指摘され始めた。17日発表の9月の米小売売上高は予想(前月比+0.3%)を上回る+0.4%でした。21日には米10年国債利回りは4.2%台にまで上昇しています。ノーランディング(インフレ再燃)から11月のFOMC(11/6-7)では利下げが見送られるとの見方も登場してきました。
今週は、23日:ベージュブック(地区連銀経済報告)、米中古住宅販売件数(9月)、24日:新築戸建て住宅販売件数(9月)、S&Pグローバル米国景況感指数(10月)と特に重要視される指標の発表はありませんが、指標の振れ幅によっては市場を揺るがす可能性も考えられます。
来週以降は、29日:米消費者信頼感指数(10月)、米雇用動態調査(9月)、31日:米PCE物価指数(9月)、11月1日:米雇用統計(10月)、ISM製造業景況感指数(10月)など主要な米国経済指標の発表が続くことに加えて、衆院選の結果反映(28日)、日銀金融政策決定会合(30-31日)、米大統領選(11月5日)と全く息の抜けない市場展開が待っています。
一旦はポジション調整を行い、リスクを限定しつつ、次の波に備えたいと考えます。