あなたはこれから、10種類のカレーの中から、自分が最も好きなカレーを1つだけ選ぶ。ただし、1つのカレーにつき一口しか味見できず、味見の直後にそれを選ぶか選ばないか決断しなければならならない。その決断は後から覆せず、全部食べてから遡って3番目が良かった、とは言えない。そしてあなたは、今後死ぬまで、そのカレーしか食べられない。
テレビでこんな実験を見ました。あなたなら、どうやってカレーを選びますか?動物的な勘?フィーリング?実は、数学的な最適解があります。
もし、1皿目のカレーを無条件に必ず選択する場合、それが10種類の中でベストである確率は10%です。次に、1皿目のカレーを無条件に見送り、それ以降、1皿目よりも美味しかった時点で必ず選択する場合、それが10種類の中でベストである確率は28%です。
このように数学的に計算すると、ベストなカレーを選択できる確率が最も高くなるのは、「3.7皿目までを見送る」という方法です。つまり、3皿目までは無条件に必ず見送り、それ以降は、見送ったどの3皿よりも美味しいカレーを食べた時点で選択するのです。
これを別名、「秘書問題」とも言います。10人の候補者の中から秘書を選ぶが、面接の直後に合否を言い渡さねばならず、その決定は後から覆せない。10人の中からベストな人を採用する確率が最も高くなるのは、最初の3人は無条件に必ず見送り、それ以降は、見送ったどの3人よりも優秀な人に出会った時点で採用する、という方法です。
さて、日本では晩婚化が進み、生涯未婚率は増加傾向にあります。2035年には生涯未婚率が男性30%、女性20%になるという推計があります。男性の3人に1人、女性の5人に1人は、一生誰とも結婚しない時代が来るということです。男女の人口比が同じなのに、生涯未婚率にこのような男女差が生じるのは、男性の方が1人で複数回結婚する人が多い、ということでしょう。
もしあなたが、生涯でトータル10人の異性と交際するのだとしたら、何番目に交際する異性を、生涯のパートナーとすべきでしょうか?
テレビ番組でのカレーの実験では、2人の被験者は、もっと美味しいカレーに出会えるハズだとズルズルと意思決定を先延ばしにしました。そしてその結果、最終的にあまり好みでないカレーを選択するハメになりました。選択肢が多ければ多いほど、求める基準が高くなり、意思決定が難しくなるのだそうです。あなたなら、何番目のカレーを選びますか?
Written by Cranberry Jam