メニュー
TIW Cafe

和食 -Cranberry Jam –

2016年09月02日

平成25年12月、和食(日本人の伝統的な食文化)が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本は南北に長く四季が明確で、自然が多様性に富んでいて豊かです。日本の食文化は、この豊かな自然に寄り添うように育まれました。
和食の歴史を辿ると、3つのブレイクスルーを確認できます。その1つ目は、「精進料理」です。精進料理は中国が発祥で、中国へ渡った留学僧が日本に持ち帰って発展しました。鎌倉時代初頭の修行僧である道元は、24歳で中国に渡り、精進料理の技術を学んで28歳で帰国しました。道元がもたらした調理法は、当時では革新的な技術でした。道元は『典座教訓』という本を著し、料理の教えとともに、食事に対する心得も説いています。本に書かれた「不費一粒」(米一粒たりとも無駄にしてはならない)という教えは、現在にも通じるものです。

2つ目は、「本膳料理」です。本膳料理は、武士が主君や家臣を自邸に招く「御成」を通して発展し、室町時代に確立されました。御成は権力や権威を示す場でもあった為、武士たちはこぞって豪華さを競いました。一人前の料理を「膳」に載せて個々に提供する方法も、御成で確立されました。街道や海上交通の整備に伴って昆布と鰹節が全国に普及したことも、和食に大きな影響を与えました。

3つ目は、「茶の湯」です。千利休をはじめとする茶人たちによって確立されたものです。限られた空間と限られた品数の中で、質素でありながらも「料理と給仕に心を込める」ということこそが、「究極のもてなし」とされました。千利休は、季節の食材を使って最も美味しい状態で食べてもらうことが大事だとしました。こうした料理は後に懐石料理へと発展し、江戸時代には庶民の間にも広がりました。

海外の日本食レストランの数は、現在9万店を数えます。3年前に比べて6割も増加しました。無形文化遺産に登録されて日本食の認知度が上がったことが、この店舗数の急激な増加に一役買っています。海外で作られる日本食は、その土地々々に合わせてアレンジされることもあります。お寿司がカリフォルニアロールへと進化したように、思いも寄らない斬新な日本食が海外で誕生することも、その楽しみの一つかもしれません。

Cranberry Jam

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る