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親として言っておきたいこと -Forever Young-

2016年03月04日

高校時代の後輩からメールが入った。久しぶりに会いたい。相談したいこともあるとの内容だ。2月の後半は長男の受験のことで頭が一杯で何か落ち着かぬ毎日が続いた。3月半ばなら大丈夫だと折り返した。そうしたら、大げさな話ではない。英会話の勉強がしたい。今、バカ売れ
と宣伝している英会話教材を選ぶことへの意見を聞きたいとのことである。私が下宿でラジオの英語放送を流しながら英語の勉強をしていたことが大学時代の思い出として残っていたらしい。「ヒアリング重視の学習手法は間違ってはいないと思う。でも『スピード』という釣り文句には注意した方が良さそうだ。そんなに上手い話はない。英語も積み重ねで上達する。長続きする自分に合う方法を見つけることだよ。」と電話で答えた。

一学年下の彼が柔道部に入部してきた時には中学での経験者とはいえ新入生の中で全く目立たなかった。ところが、3年生になると軽量級の県内のトップ選手になった。推薦で進学し大学でも柔道を続けた。私は汗臭い世界を離れ当時でも帰国子女が数名いた英会話の部活に入った。社会人になって再会した時に「高校3年間でずいぶん強くなったよね」と聞いたことがある。そうしたら、「柔道は好きだし、レギュラーになりたかったので誰よりも打ち込み(立ち技の動きを覚える基本反復練習、実際に練習相手を投げないが投げ技に必要な要素を吸収する)」を真面目に沢山やった。これだけは自信がある。」という言葉が返ってきたことを今でも良く覚えている。

たまたま、2月の「私の履歴書」はフットボール界のスーパースター釜本氏で工夫をしながらも地道な反復練習を重ねたことで精度の高いゴールを身に着けたという話に感動したこともあり、「英会話も柔道で背負い投げとか、内股とか大技の習得には打ち込みという基本の繰り返しが重要なように、とにかく毎日聞くことの積み重ねだ」と電話口で続けていた。そうしたら、「公務員を引退したときに他の世界でも役に立つこと身に着けておきたい。そのために数年がかりで努力する。」と言う。やっぱりわかっている。彼なら実になる。

漸く長男の受験が終わった。いくつか落ち、いくつか受かった。どうしてもこの学部というこだわりはなかったようだが、一応、第一希望の法学部での合格は滑り止めのみ。法学部ではないが某大学の看板学部に受かった。一方で看板学部ではないがそこより偏差値が高い別の大学に合格した。受験に口を出さない方針だったが、少し選択に迷っていたようだったので、この時とばかりは「これがどうしてもやりたいと特に決まっていないのなら将来選択肢が広い方を選べ。」と言ってしまった。そうしたら偏差値が高い方を選んできた。

子供の進路を私が決めてしまったようで少し後悔している。本当によかったのだろうか。「大学で自分が一生、楽しくやれることを見つけろ。できればその延長で仕事も探せ。毎日、努力が続けられる自分が楽しいと思う世界に身を置くのとそうではないのとでは長い人生の中で大きな差がついてしまう。」と。今回、私が決めてしまったことへの罪滅ぼしと自分の過去への反省も踏まえ今度このように言おう。もう親としてできることはこの程度か。

Written by Forever Young

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