メニュー
TIW Cafe

地政学リスクと株式相場 -Forever Young-

2016年01月15日

証券市場に関りはじめてから、かれこれ四半世紀が過ぎた。円から米国国債などの外国債券への投資がスタートとなった。為替見通しの会議で地政学リスクの話をはじめたら、地政学リスクはファンダメンタルズとは関係がない、そして投資判断に取り入れる必要はないと当時の上司に一蹴されたことを今でも鮮明に覚えている。

「地政学リスクは、「地政学的リスク」とも呼ばれ、ある特定地域が抱える政治的・軍事的・ 社会的な緊張の高まりが、地球上の地理的な位置関係により、その特定(関連)地域の 経済、あるいは世界経済全体の先行きを不透明にすることをいいます。」と辞書にはある。

確かに、地政学リスクが発生する証券市場には不透明感が広がり相場は一旦下がる。しかし、ファンダメンタルズとは関係がないということで暫くすると市場は落ち着きを取り戻す。そして、やがて元に戻る。強く記憶に残るのはあの大国ソ連邦の崩壊の時のことだ。地理的に近い独マルクとドイツ株が急落した。この時にもこの法則が確り当てはまった。その後も世界のあちこちでいざこざや混乱が起きたが同じようなことが続いた。

新年に入って世界の株式市場が下げ止まらない。中国景気への懸念に、北朝鮮の核問題は余計としても中東で地政学リスクの高まりが重なったことが背景だ。従来は地政学リスクが高まると原油価格が上がり、一方で有事のドル買いに繋がった。しかし、今は違う。原油安が頭になり、サウジとイランの緊張、地政学リスクの高まりに繋がっている。そして、有事の円買いと来る。原油に連動し他の一次産品価格も下がるから中東以外の資源依存国においても地政学リスクが高まる。オイルマネーの証券市場への影響は大きいが、今では他の新興国マネーの影響も大きい。現状、周りを見回しても原油が上がる要因などない。もはや地政学リスクは投資判断に不要などと言っていられない。今年は地政学リスクと付き合い続ける年にならなければよいのだが。      

 Written by Forever Young

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る