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高級車と金融商品とは、購入者の意識構造が一緒なのか? -wildernesswolf-

2015年07月31日

70歳近い家内の両親は車を保有しているのだが、最近はめっきり乗らなくなった。
先日、偶には動かさないといけないだろうとエンジンをかけたらバッテリーが上がっていたそうだ。JAFに来て貰い、エンジンを起動したのだが、折り畳み式のミラーが動かなくなっていたという。ちなみに車はドイツの某高級車メーカー(B社)。
ディーラーに来て貰い、車の修理を依頼したら意外と修理代がかかるとのこと、それではもう廃車にしてしまおうという話(車に乗るのを止める)も検討していたそうであるが・・・・ある時点で、一転、方針が急変した。

なんと、新車に買い換えることになったそうだ。
営業レディーがとにかくセールストークが上手く、下取り価格、ローン金利(殆どゼロ?)、新型車の魅力などを語り、岳父をその気にさせてしまったようだ。

「えっ、B社の車は安いのでも300万円以上するでしょ。オプションとか諸々入れたら400万円近いのじゃない? だって、月に1回乗る程度でしょ?」。
私もビックリしたが、家内はもっと深刻だったようだ。
「両親が急に老人になってしまった」、と。

この話を聞いて、友人のお母さんを思い出した。
友人から、お母さんの保有している投信についてどう思うかを何度か聞かれたことがある。彼のお母さんは大手のN証券と取引をしているのだけど、とにかく持っている投信は殆どが通貨選択型の二階建て三階建ての手数料の高い商品ばかりである(最終的には損はしていないみたいだが)。

最初にアロケーションをざっくりでいいから決めたほうがいいよ。円貨、ドル建、ユーロ建のウエイトを決めて、株式型と債券型のウエイトも決めて・・・・。
しかし、そこまで専門的にやるつもりは面倒だからないのだろう。
オンライン証券が扱っている(N証券では扱っていない)、手数料が安い商品についていくつか例を示したが、関心はなかったようだ。
お年寄りにとっては、楽しい気持ちにさせてくれて、大きく儲けなくても損をしなければそれでよいのかも知れない。

そういう意味では、高い接客能力を持つ大手金融機関の営業マンはお年寄りには心地よいのだろう。しかし、そのサポートには高い手数料が乗っかっている。それに見合うサービスを得られているかどうかは分からない。それでも構わないというご年配の顧客が居ることで成り立っているのが今の金融・証券業界。

車の場合は、販売員の接客能力やサポート体制、それに伴う高級感がブランドとなり、車の価格を形成している。したがって、価値はその車を所有することによる満足感である。心の問題である。
しかし、金融商品で同じ構造が成立しているのは不思議でならない。金融商品を保有することや、大手金融機関と取引をすることによる満足感で金融商品は評価されるべきものなのだろうか?

日本人はブランドを買い漁っていた時代からまだ精神構造が変わっていないのだろうか?
そんなことをふと、思った。

By wildernesswolf

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