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経営者が遊んでいる会社は何故上手くいくのか? -wildernesswolf-

2015年03月20日

経営者が遊んでいる(あるいは遊んでいるように見える)会社は不思議と上手く行っている。と、言うとそれは順序が逆ではないかという反論が出てくるだろう。遊んでいるから上手く行くのではなく、上手く行って儲かっているから遊んでいるのだと。

確かに儲かっていなければ遊んでいる余裕などない。しかし、これまで沢山の中小企業・新興企業を見てきて感じるのは、経営者が現場に深く入って仕事をしている会社で成長した会社は稀である。経営者は基本的に現場に入ってはいけないのだ。

それは次のような理由が考えられる。
まずは経営者自身の問題である。経営者は自己の所属する業界内外の動きにアンテナを張って事業の拡大・縮小、新規事業の可能性などを常に模索しつづけなければならない。現場で職人的に高いスキルを提示するのではなく、会社として機能するための仕組みづくりについて意識を巡らせなければならない。そして実績に対して厳しくならなければならない。現場で社員と一緒に業務を行っているとどうしても人情に流されてしまう。実績の上がらない者が居れば、自分がフォローやカバーをしてしまう。そうして本来やるべき業務が疎かになると同時に、結果に対する厳しい判断を難しくさせてしまう。
従業員の方はどうだろうか。経営者と緊密になることによってモチベーションが高まる者もいるだろうが、甘えが生じやすくなる。また、常に判断を仰ごうとして自立心や責任感が醸成され難くなる。監督が「代打、オレ!」と言うことは企業規模が小さくても出来るだけ避けなければならない。

「高い経営目標と理念を共有して、社員一人ひとりが自立心を持って考え、行動する」というのは理想型であるが、中途半端にただ経営と現場の距離を縮めることは馴れ合いに陥るリスクを高めるだけである。
距離を縮めて馴れ合いに陥らないためには、経営者自身が極めて高いレベルで自らを律することが求められるが、凡人には難しい。凡人でなくても難しいだろう。また、経営者が厳格で厳しくあればあるほど、組織の柔軟性は失われ、ヒラメ社員を大量に作り出す可能性も生じてくる。厳格なだけの経営者が企業成長をもたらすというイメージはない。

経営と執行の分離とはコンプライアンスの観点から語られることが多いようであるが、企業成長を考える面でも必要性が高いと思う。事業内容やステージ、補完的な人材など置かれた環境や条件で異なることは言うまでもないが、経営と現場には明確な役割分担としての距離感が必要だと考える。

技術系の会社は、開発部門の出身者を経営トップに据える傾向が強い。機能分担が進んでいる大企業では開発者のモチベーションを高めるためにも必要なものかもしれないし、長期ビジョンを描くには技術の方向性を感じることが出来ないといけないだろう。しかし、中堅企業で技術系がトップの会社は意外と上手く行っていないのではないだろうか?ゲーム会社の社長に開発者が殆ど居ないことがそれを象徴しているだろう。
技術系を後継トップにしたあの有名企業が低迷したのは、実はそんなところにも要因があるのかもしれない。

By:wildernesswolf

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