メニュー
TIW Cafe

男雛は左(向かって右)に並べましょう -wildernesswolf-

2015年02月27日

先日、フェースブックを見ていたら雛人形の写真を掲載されている方がいらっしゃいました。もう、ひな祭りか、と思ってみるとなんとなく変です。男雛が左(向かって右)、女雛が右(向かって左)に配置されています。雛人形の写真を検索してみると、男雛が右、女雛が左にあります。その方に、配置が逆ではないですか?とメッセージを打ちました。
するとその方から、これは「古式」の配置です、という返事がかえってきました。
京都を中心とした関西地方ではこうした「古式」の配置が取られるようです。

ひな祭りの起源には諸説がありますが、現在のように雛人形を飾るようになったのは江戸時代からと言われています。その当時は男雛が左、女雛が右の配置であったそうです。これは、中国の陰陽説に従って、男は陽、女は陰、左は陽、右は陰、となるからでした。舞台でも左(向かって右)を上手、右を下手と呼びます。
それが、逆になったのは、昭和に入ってからだそうですが、昭和天皇の即位の礼(昭和3年)で、昭和天皇が皇后に対して右に位置されたのですが、これを東京の人形店がセールスのために倣ったという説が有力です。この配置は「新式」と呼ばれています。

さて、こうしたことを調べている過程で面白いことを幾つか発見しました。
男雛を「お内裏様」、女雛を「お雛様」と呼ぶことがあります。これは「うれしいひなまつり」(山野三郎詞 昭和10年)の歌詞で、「お内裏様とお雛様 二人並んですまし顔」と歌われていることがはじまりです。しかし、「お内裏様」とは内裏の中に居る方=天皇と皇后を表し、「お雛様」とは三人官女や五人囃子などを含めた雛人形全体を指す言葉であり、間違いだそうです。この歌にはもう一箇「すこし白酒 めされたか 赤いお顔の 右大臣」と歌われていますが、これは左大臣の間違いです。

作詞者の山野三郎とは、作詞家・小説家・童話作家のサトウハチローのペンネームの一つであり、同氏は「りんごの唄」、「小さい秋みつけた」、「エンゼルはいつでも(森永製菓のテーマ曲)」、「中日ドラゴンズの歌」の作者でもあります。

最期に、お父さんたちに提案です。
男雛は、昭和になってから上手(左)から下手(右)に格下げされてしまいましたが、ここは思い切って「古式」を取り入れて上手を奪還するとともに、ひな祭りのウンチクを語ってお父さんの地位を挽回しようではありませんか(と言っても小さな娘には分からないかもしれませんが・・・・)。

By wildernesswolf

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る