メニュー
TIW Cafe

阿漕が浦 -バク-

2013年11月15日

アコギの意味は、しつこく、ずうずうしいこと。義理人情に欠け、悪どいこと。無慈悲に金品を貪ること。アコギな商売とかアコギな奴とか、悪い意味で使われる。
アコギを漢字で書くと阿漕。昔は悪どいとか無慈悲のニュアンスはなく、単に二度目、たび重なるの意味で使われていた。
阿漕は三重県にある阿漕が浦に由来する。阿漕が浦は、伊勢神宮に供える漁だけ認められた一般民の禁漁区であったが、ある漁師が禁を破って密漁を繰り返した。やがて人の知るところとなり、役人に捕らえられてしまった。

 

伊勢の海 あこぎが浦に引く綱も 度重なれば 人もこそしれ

 

平安時代末期、出家前の西行は、身分の違いに苦しみつつ、前に一度会った待賢門院璋子への想いを募らせていた。西行は、璋子をひと目見たいと願い、歌会や蹴鞠などのイベントに積極的に参加したが、璋子と顔を合わせる機会を得られず、ついに思い余って璋子の居所へ忍び込んでしまう。ようやく西行は璋子と御簾越しに対面することが叶った。そのとき、璋子は西行に「阿漕の浦よ」と言ったと伝えられている。
端的には、たび重なる→しつこいの意味になるが、言外には、西行の私を想う気持ちはうれしい。けれども、身分違いの恋である。人の知ることとなると大問題になってしまう。あきらめなさい、という璋子の気持ちが込められている。この失恋が、西行出家のきっかけになったという説もある。
しつこい人に出会ったら、阿漕が浦と言ってみたいけど、意味が通じるか心配。

 

Written by バク

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る