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TIWcafe 鬼は外、福は調理器具 -Cranberry Jam-

2012年02月03日

底冷えの厳しい日々が続いていますが、節分をむかえると立春ということで暦の上では春、何となく季節が動く気分になります。節分の歴史は古く、悪霊ばらいの行事としては8世紀頃から、炒った豆で鬼を追い払う行事は室町時代から行われたそうです。元々は宮中行事で、庶民に広まって寺社で豆まきをするようになったのは近代のことだそうです。


私は何年か前の節分の日に、初めてお寺の豆まきに行きました。お寺に着くとまだ豆まきの時間には早かったせいか人出はまばら。境内に入ると砂利を踏みしめる足音が心地よく、梅の木には小さな蕾ができていて春の足音も感じられます。お堂の前には豆をまくための特設舞台が用意されていました。空は抜けるように高く、お堂の屋根の上の金色がブルーに映えています。しばらくするとどこかしこから人がわらわらと集まってきて、いつの間にやら舞台の前はとても賑やかになりました。
さぁ豆まきタイムのスタートです。掛け声と共に景気よく豆をまくお上人はみな袴姿。中には僧兵姿の人もいて、恰幅がよく武蔵坊弁慶を彷彿とさせます。かたや舞台の下を見るとスウェットズボンにつっかけのような格好が多く、みなさん近所からふらりとやって来たようです。舞台上の立派すぎる袴姿とのギャップに思わず可笑しくなりました。
いざ豆まきが始まってみると、意外にもそこは弱肉強食の世界。みな飛んでくる豆に全神経を集中させ、ワァだのキャァだの声にならぬ声を上げながらわれ先にと食らいつきます。さながらパンの耳に群がる池の鯉のようです。中には野球グローブやスーパーの買物カゴを持っているつわ者もいます。私も豆をキャッチしようと必死にもがきましたが、前の人のグローブ捌きが華麗すぎてなかなか取れません。途中から作戦変更して落ちてるやつを拾うことにしたら、なんとかおこぼれにあずかることができました。ひと通り豆まきが終わると多くの人はさっさと帰ってしまい、お寺にはあっという間に静寂が戻りました。さっきまでの喧騒がウソのようです。玉砂利や、つわ者どもが 夢の跡 ・・(笑)


私は初めてのことなので知らなかったのですが、豆だけでなく大入袋も撒かれました。そして袋には大吉や小吉の紙が入っていて、その幸運を得ると景品と交換できるシステムだったのです。どうりでみんな必死なわけです。空腹から豆に群がってたわけではありませんでした。帰り際にようやくそれに気づいた私は、拾った大入袋を開けてみました。すると大吉!いや?残り物には福があるとはよく言ったものです。なんと景品は調理器具のシリコンスチーマーでした。伝統的な行事はこうやって少しずつ形を変えながら伝わっていくのだなぁと思いました。

Written by Cranberry Jam

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