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TIW Cafe

小さな町の繁盛するフランス料理店 ?Rilakkuma?

2012年01月20日

東京から約80Km、銚子市の隣にある、九十九里浜の最北端にある田舎町に、居心地の良いフランス料理屋さんがあった。地元の友人が案内してくれた。旭市は、人口8万人強のとても小さな町で、余った土地に、風力発電の風車郡が並ぶ。夜は明かり一つなくなる静かな町。そんな場所で、いつも賑わっているという。
そこは、回廊のある邸宅風の素敵なレストランだった。裏庭に広々とした野菜畑がある。敷地は贅沢にとってあり、20台ほどの駐車スペースがある。人が少ない街で、こんなにゆったりとしたお店を維持できる事にとても驚く。その秘密は、徹底して原価を抑えているから。上手な経営に驚いた。席に着くと、当店オリジナルの、ノン・アルコールカクテルを薦められる。農家の庭先にあるみかんの木に、ぽつんと残っているものを、安く譲ってもらって作るという。絞りたての柑橘の香りや、みかんの風景が眼に浮かび、長閑で幸せな気分になった。

裏庭からたった今摘んだサラダや、地元の漁港のイワシ・シラスを使う。低コストなのに、全てが手作りで、ご近所や町の生活が彷彿とされる。今、このレストランだけで味わえる、豊かな食事だった。
店員の数は少ないが、料理の説明やサービスに流れと仕組みを作り、丁寧な接客ながらも、人件費を抑えている。房総半島の塩を使った焼きたてのスペイン風パンを切り分けてくれる。最後に明日の朝食にいかが?といわれ、思わず買いたくなる。商売上手だけど、お客さんはとても満足する。外食産業の生き残りが難しい中、ジャンクフードか高級か?と2分されるが、それだけではない価値観がある。”地元の村”を付加価値の源泉とし、素材、雰囲気、料理にこだわりながら、低コストを実現させ、小さな村でも、いつも賑わうフランス料理店を維持させる事ができるのだ。
そば屋、ラーメン屋では汁が最もコスト高で、麺のコストは20円ほど。大盛りや替え玉のお客は大歓迎。つけ麺屋は最も儲かる。ジャンクにしなくても、いろんなやり方があると感心する。

夕食前に、灯台のある断崖の岬から、房総の海を一望した。あんなにも広い視界で海を見たのは初めてだった。小さな漁港の向こうから、弓状に連なる九十九里浜が延々と続き、視界の先は砂浜が、日没寸前の赤い光に照る水面に重なり、消滅する。海の景色を思い出しながら、暖かい雰囲気に包まれ、見知らぬ街の人の、様々な生活を感じる、豊かな食事だった。

Written by Rilakkuma

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