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昨今のアナリスト業務 -Mary-

2011年10月14日

以前のアナリスト向け決算説明会は、決算発表の1週間後になることもありましたが、最近は決算発表の当日、もしくは翌日が当たり前のような時代になってきました。決算説明会における会社側の提出資料(WEBで公表するとこも増えてきています)の内容も大きく様変わりしてきています。

説明会の中身も、決算短信だけだった説明会資料も、現在は、プレゼン資料が添付されることが当たり前のようになってきています。過去の業績や予想を掲載したファクトブックなるものを製作しているところも増えてきています。それに、会社側の出席者も経理部長や財務部長のみでしたが、最近では社長が出席する会社も増えてきました。それに、決算発表が年二回から四半期決算に移行したことで、説明会が年4回開催されるようにもなってきました。

このため、以前の決算説明会で必ず質問されていた、設備投資額や減価償却費などの質問は、資料に掲載されているので今やほとんど聞きかれません。ほとんどの決算説明会は、有名アナリストといわれる人たちのアピールの場と化してきています。質問をしたり、自分の意見を述べて存在感を示すといった状況です。従来、意見交換などは取材のときに行われていたものです。公の場で意見交換が行われることなったため、経験の浅いアナリストやファンドマネジャーなどは、説明会などで発表される有名アナリストといわれる人たちの考え方、良いことも悪いことも大きく影響するようになったと思います。

また、発表される決算数字が年4回に増えたことで、周辺取材や関連業界への取材件数が物理的に減少しています。会社や業界団体が発表する数字は、WEB等で簡単に見る機会が増えたことも要因でしょうけど、数字はあくまでも数字。数字には、その背景になるものが必ずしも明記されていません。例えば、飲料統計で例を挙げると営業日数の違いや天候・気温の影響で数字が変わります。これらは、実際に取材を行わないとわからないことであり、決して統計には出てこないものなのです。
インターネットの普及でデータが入手しやすくなったことで、数字分析が増え、一歩で、業界の構造分析が減ってきているように思えます。実際に協会や団体などに取材に行ってみると今でも統計には出てこない情報を数多く入手できたりします。また、回数を重ねることで人間関係を構築することもできるので、その後の情報収集が更に深まってきます。こうした分析方法は時代遅れとして過去の遺物になってしまうのでしょうか。

 
Written by Mary

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