メニュー
TIW Cafe

風の音 -Cranberry Jam-

2011年08月05日

風鈴が、涼しげにチリン、チリ?ンと透明感のある素敵な音色を奏でていました。
その音が最近聞こえないなと思っていたら、向かいの家にぶらさがっていたはずの見た目も涼しげな金魚の描かれたガラスの風鈴がなくなっていました。
向かいのおばあさんがゴーヤの手入れをしていたので、「風鈴とってしまったんですね。」と話しかけたところ、どうやら風鈴が鳴っているのがうるさいという苦情がきたそうです。
現代の住宅事情では多くの人が密集した中で生活をしているため、たとえ小さな音でも他人が出す音は不快に感じてしまうのかもしれません。

わたしには懐かしく、音を聞くだけで清涼感を感じ、癒されていたので苦情がきたというのはとても悲しいなと思いました。おばあさんが、「いまはアパートだけれど、昔ここは長屋ばかりで、夏は風鈴がたくさんついていたけれど、うるさいという人はいなかったんだけどね。」と寂しそうに話されているのが印象的でした。

昔の人は、風を音に変えて涼感を与えてくれる風鈴で、耳からも涼しさを感じていたのでしょう。でもいまはクーラーができ、音で涼しさを感じなくても、直接体感できるようになりました。それが故に風鈴の音色は必要なものではなくなってしまったのかもしれません。

風鈴の起源は、室町時代に中国から伝わった「風鐸」と呼ばれるもので、魔除けや占いなどとして用いられていたそうです。それが一般の人々へ広がり、用途もかわり「風鈴」と呼ばれ親しまれるようになったそうです。

時代や状況は変わっていきますが、これからも日本の夏の風物詩として残っていって欲しいと思います。
そして私も、日本人の持つ風情や情緒を感じる心は忘れたくはないなと思いました。

Written by Cranberry Jam

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る