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宝くじに淡い夢を馳せて -S.T-

2010年12月17日

「1等・前後賞合わせて3億円!1等2億円が74本、2等1億円が370本!」との宣伝文句につられ、懲りることもなく、年末ジャンボ宝くじを買って年末の慌しい毎日を過ごしている。1等と2等の本数を合わせると、今年は億万長者が倍増し、444人誕生すると言う。今年は身内がたまたま観光で寄った神社で大大吉(大吉のその上、当該神社でめったに出ないと聞く)を引き当てたこともあり、余り良いことがなかったようには思えるものの、まだ、運は残っていると思い、いつになく早く、当たりの名所の一つと言われる新橋の宝くじ売り場に並んだ。

厳しい経済環境を映すかのように、宝くじ売り場だけは専ら賑わっているように思える。およそ半分にも上る大学生の就職がまだ決まらないと聞く。リーマンショック後、リストラで贅肉を落とし、漸く健康体となった大企業は先進国を中心に景気の先行き不透明感から重いものを抱えることには慎重だ。一方、学生側とてただでさえ、ベンチャーなどが育ちにくい土壌にある中、景気低迷の長期化で安定、ブランド志向はどうしても強まる。ミスマッチが拡がるのも仕方がないとも思えるのだが、こうした状況はやはり異常だ。

企業活動の活性化などを通じてデフレ脱却を図るべく、法人実効税率の5%の引下げなどの企業減税に漸く政府が動いた。国際水準と随分と差がつき高くなってしまったようだが、格差縮小、国際企業の国内への踏みとどまり、そして雇用維持に寄与する、第一歩としては歓迎でき、中期的に景気の改善に繋がってくれればと思う次第である。但し、法人税率引下げの一方、個人税制見直しで11年度税制改正大綱に相続課税強化が盛り込まれることには不安を覚える。所詮大した相続見込み財産があるわけではない。しかし新聞の解説欄で難解な相続税の新計算式を眺めると、従来から課税のハードルが一気に下がったように思える。よく見ていないのかもしれぬが、一寸した死亡保険金を貰い小金持ちになったとしても課税されてしまうように思え死んでも残せぬし、長生きしても身内が築いたものを享受することも難しくなるのか。歳を経るたびに近づく年金、少子高齢化で我が世代は満額貰えるのかどうか募る不安、もはや企業が元気になってもその恩恵を直接受けられる期間が短くなる中での相続権益への微かな期待の縮小、もう、起死回生のチャンスはないのか、そう思うと益々財布に紐は堅くせざるを得ない。

11月24日、筆者の誕生日に始まった宝くじの発売。確率の論理から言えば、パチンコ、競馬、totoなど他のギャンブルに比べれば当たる、勝つ、の確率は極めて低いとそもそも言われ、当たるわけがない。でも、直ぐに結果が出ないから、長く夢を見ることができるのが最大の効用だ。若し当たったら、「しめしめ」と喜びを自分の心にしまい、先ずは住宅ローンを返済、そして、子供の教育資金を貯金に回し、最後に「もうこつこつと働くことなんかないぞ」と思いっきり叫んでいるに違いない。あと一週間で発売も終わりとなる。期待値を更に膨らせるべくもう少し買ってみようかと思う今日この頃である。                            

Written by S.T                                

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