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無知の知 -Cranberry Jam-

2010年11月12日

少し前の話ですが、夏に隅田川花火大会に行きました。家から比較的近いということもあり、毎年のように行くのですが、今年はちょっとしたプチ領有権問題が発生しました。

例年のように朝早く敷物を持って隅田公園で場所取りをして、花火開始1時間ほど前にそこへ行きました。するとどうでしょう。私たちのシートに見知らぬカバンやらダンボールやら靴やらが散乱しているのです。アレ?場所を間違えたかなと一瞬思いましたが、やはり私の敷物です。原因はすぐに分かりました。前隣の10人程の若者グループです。私達の領土だけでなく、四方八方にはみ出して隣接地を侵食していました。他の被害者も困惑した様子でした。私はなるだけ事を荒立てないように低姿勢で、荷物をどけてもらうようお願いすることにしました。

しかし想定外の事態が起こりました。日本語が通じないのです。彼らは中国人でした。いい場所取ったから!と友人を誘っていた手前、引き下がるわけにはいきません。でも武力衝突になれば多勢に無勢、結果は明白です。是が非でも外交的努力で解決しなければなりません。

身振り手振りと筆談でネゴシエーションの開始です。想像通り難航はしましたが、一部の靴などを除いて大半の荷物をどけてもらえることになりました。「日中友好的物品」と書いて渡したサントリー金麦が奏功したのかもしれません。

ホッと一息ついて枝豆を食べながら花火を待ちました。さぁいよいよ開始です。区長の少し長めの挨拶の後、大きな一発目の花火と同時にワァと歓声が上がりました。しかしその時です。前の集団が矢庭に立ち上がったのです。隅田公園は川に向かって上りの傾斜になっているので、前の人に立たれると花火が隠れてしまいます。それは私の後ろにいる人達にとっても同じでした。当然ヤジが飛びます。「おい、見えないよ」「チョット!座ってよ」しかし彼らは意に介しません。日本語が分からないのです。

あ?今年はついてなかったなと半ば諦めかけたその時、救世主が現れました。左隣にいた中年の夫婦が若者集団を注意して、座らせたのです。その夫婦も、中国人でした。


好むと好まざるとに関わらず、これからは草の根レベルでも中国を避けては通れません。今年の中国人観光客は昨年比50%増の150万人に迫る勢いです。浅草で公衆トイレに入ると、使用済みの紙が流さずに床に置かれています。なぜなら中国ではそれがマナーだからです。トイレに流すと詰まってしまうのです。バスの中では大声でケータイで話します。中国では、周りの人がそれを迷惑だとは思わないからです。他文化のマナーや風習やメンタリティを理解することは容易ではありません。まずは自分が、隣国の文化や風習をよく知らないということを自覚せねばなりません。昔の中国人がこんな言葉を残しています。

『知らざるを、知らずとなす。これ知るなり。』

Written by Cranberry Jam

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