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なんとなくスピリチュアル -なんちゃってスピリチュアリスト-

2010年09月24日

現在スピリチュアルという言葉はすっかり定着した感がある。数年前から江原氏がTVで関連番組を放送したことや、数々の関連書籍が出版されていることも背景にあるが、中には関連グッズや怪しげなセミナーなど商売根性が見え隠れしているものもあり、注意が必要かもしれない。この原稿を書く為にネットで調べていたが、スピマ(スピリチュアルマーケット)と呼ばれるフリマのようなイベントも全国各地で開催されているらしい。

さて本題に入るが、そもそもスピリチュアルって何なのだろうか。英語のSpiritを辞書で引くと「魂、霊魂、元気、気分」とあり、その形容詞であることから「精神的な、霊的な」という意味となる。単にスピリチュアルといってもかなり広範囲の領域が含まれる。かつて丹波哲郎氏の語っていた死後の世界に加えて、ビートたけしの年末恒例番組のテーマでもある超常現象・宇宙人/UFO、前世占い、オーラ、カルマ、ヨーガ、気功、癒しなど。更には発展してスローライフ/フード、ホメオパシー(自然療法)、人生哲学や自己啓発・成功のノウハウなどキリがないほど関連分野は拡大する。

ここで長々と能書きをたれるつもりは毛頭ない。簡単に言えば”人間としてよりよく生きる為に助けとなる知恵”とでもなろうか。世の中にはいろいろな見方・考え方があり、当然信じがたいものも含まれる。大事なのは直観だと思う。現在これだけ物質的に豊かになっても貧富の差は広がる一方だし、世の中の矛盾が見えてきたこともスピリチュアルブームの一因と考える。政治は迷走し、「9・11の真相」でわかったように国家も信頼できない、マスコミの報道能力にも限界があるとすれば、頼れるのは自分しかないという気づきが人々の間に広がっている証かもしれない。

話は若干それるが、欧米のキリスト教の人などから見れば日本人は無宗教だといわれる。しかし、筆者は日本人ほどスピリチュアルな国民はいないと感じている。万物にも神が宿るという感覚は一神教のキリスト教・イスラム教とは一線を画すものであり、日本人の心の土台をかたどっている。「千と千尋の?」に代表されるアニミズムとも通じる世界だ。さらに言えば、筆者の敬愛するフーテンの寅さんなどは究極のspiritualistともいえるだろう。悪いことをすりゃ、お天道様が見ているのである。一方、日本人の心の原風景というものが、開国以来欧米化を是として突き進んできた中で徐々に失われてきたのは残念なことといえる。夏目漱石やラフカディオ・ハーンなど鋭い作家たちの憂慮は、今や現実のものとなっている。

最後に本の紹介であるが、スピリチュアル関連の本は前述したようなテーマ毎に文字通り山のように出ている。中にはトンデモない本もあるが、人生観を変えるほど感銘を受けるものもあり、良書を探してみる価値はあるだろう。取っ掛かりとしてニール・ドナルドウォルシュの「神との対話」あたりはいいかもしれない。その他、「あるヨギの自叙伝」(パラマハンサ・ヨガナンダ)、アメリカインディアンの精神世界を知る上では「ブラックエルクは語る」なども興味深い。また、子ども向けの本にも結構スピリチュアルな教訓に満ちているものが多い。サン・テグジュペリの「星の王子さま」や、エンリケ・バリオスの「アミ 小さな宇宙人」などがそうだ。読書の秋に向け、参考になれば幸いである。

Written by なんちゃってスピリチュアリスト

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