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レア・メタルの本命は… -Mary-

2010年08月13日

レア・メタルは希少金属と略され、埋蔵量が少ない金属や、コスト面や技術面、政治的な理由から入手するのが困難な金属の総称です。

ちなみに、地球上に存在する金属で最も多いのが、アルミで、地球の表面に82,000ppm存在します。次いで鉄が41,000ppm、マグネシウム23,000ppm、チタン5,600ppmと続きます。私たちの身の回りにある銅はなんと55ppmとチタンの百分の一に満たない量しかないのです。他にも亜鉛が70ppm、ニッケルが75ppmとなっています。
銅は青銅器時代から、鉄は鉄器時代から使われてきました。アルミとチタンは今から200年ほど前、ほぼ同じ時期に発見されましたが、量産化しやすかったアルミは一気に普及し、われわれの身の回りで容易に見つけられる金属となっています。チタンが本格的な量産が始まったのは戦後になってからであるため、まだまだ眼にする機会が少ない金属です。
こうしてみてみると、豊富な素材であるマグネシウムが、ほとんど活用されていないことがわかります。一部のノートパソコンやデジタルカメラの筐体などIT製品、自動車の足回りの部材に使われている程度です。

調べてみるとマグネシウムは、IT製品に必要な性質を多々有しています。例えば、アルミより軽くて強い(金属で最も軽く、樹脂より少し重い程度)、放熱性が良いこと(PCに使用すると冷却ファンを付けなくてもよい)、振動に対する吸収性が高い(落としても内部に衝撃を与えにくい)こと、電磁波の遮蔽性が高い(電磁波が外部に漏れない…軽くて振動吸収性が高いから携帯電話の筐体にマグネシウムを使用しようとした某電機メーカー、内部アンテナが機能しなかったとか…結局、アンテナを内蔵しない部位に使用することになった)、リサイクル性に優れている(リサイクルの際、エネルギー負荷が小さい)など。
では、これだけ優れた性質を持っているのにどうして普及していないのか。それは加工性が悪いことや、耐食性が低いこと(コストに見合えば表面処理をすれば解決できる)などが理由と考えられます。
マグネシウムはある一定温度内に保たなければ、自由な加工が難しいのです。それに、加工時に発生するマグネシウムの粉末の処理も問題になります。日本では2mm以下の粉末については粉体爆発の危険性が高いため、消防法で規制されています。

現在、マグネシウムはアルミでも使われているダイカスト法(主に自動車向け)やチクソモールド法(主にIT製品向け)で生産されていますが、いずれにしても小さな部材しかできず、コストが高くなってしまいます。
このため、鉄鋼製品のような本格的なホットコイル(HC)の量産化が必要になってきます(現在、マグネシウムのHC生産が開始されていますが、圧延コストが高いため普及するに足りるものではありません)。
技術大国を自負する日本メーカーに逸早くマグネシウムの量産技術を確立して、チタンのように世界を牽引するマグネシウムメーカーが誕生することを願う。

Written by  Mary

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