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いまさらながらのワールドカップ関連銘柄 -ニアプライム-

2010年07月30日

サッカー・ワールドカップが始まる前に「アディダスVSプーマ もうひとつの代理戦争」(バーバラ・スミット著)という文庫本を買ったのだが、忙しくてワールドカップが終わってから読んだ。単行本としては2006年4月の刊行のため(今年の4月に文庫化)、最近の動向は織り込まれていないが、ワールドカップ開幕前に読んでいたらシューズが気になって試合に集中できなかったと思われるほど興味深い内容だった。

有名な話だが、スリーストライプのロゴのアディダスとチーターのロゴのプーマは、もともとドイツの「ダスラー兄弟商会」として同根。第2次世界大戦後、兄弟が仲違いにより袂を分かち、職人気質で生産を担当していた弟のアドルフ・ダスラーがアディダスを(アディはアドルフの愛称)、外交的な性格で販売を担当していた兄のルドルフ・ダスラーがプーマを設立。両社はアウラッハ川という小さな川を挟んで激しい対立と競争を繰り広げてきた。日本でいえば一澤帆布工業のような話である。70年代に入るとジョギングブームに乗ったナイキが台頭。米国事業の悪化などにより、まずプーマが経営危機に陥り、1987年に経営は創業家の手を離れた。アディダスも遣り手だった2代目のホルスト・ダスラーが1987年に51歳の若さで病死してから迷走を始め、1990年にフランス人実業家が株式の過半を取得し、ダスラー家との資本関係はほぼ消滅した。この本を読むと、ローカルビジネスからグローバルビジネスに展開していく中で、組織としての家族経営に限界があること、技術力よりもマーケティングが重要であることがわかる。

日本代表選手23人が履いていたシューズがどこのメーカーか気になったので調べてみると、プーマが川島、楢崎、中澤、駒野、松井、長谷部の6人でトップ。サッカー日本代表とスポンサー契約をしているアディダスが今野、内田、中村俊輔、矢野、森本の5人(なぜか控えばかり)。ナイキも闘莉王、長友、稲本、玉田、大久保で5人。ミズノが中村憲剛、阿部、本田、岡崎の4人と国内メーカーとして気を吐いた。アシックスが川口、イタリアのディアドラが岩政、2007年にナイキに買収された英国のアンブロが遠藤と各1人だった。

最も活躍した本田圭佑が履いていたミズノ(8022)のイグニタスが、無回転シュートを蹴りやすいシューズとして話題になり、株式市場でワールドカップ関連としてミズノが注目された。株価はワールドカップ開幕前の6月10日終値の377円から29日に417円の高値を付け、7月29日終値で397円。小幅上昇にとどまったのは、国内は少子高齢化のうえ、国際的なブランド力もないため恩恵は限定的とみられたためだろう。時価総額はナイキ3兆円強、アディダス約1兆円に対し、わずか500億円強しかない。3月にバイサイドの知人と飲んだところ、日本企業は技術力があってもマーケティングが下手だと熱く語っていた。その一例としてアシックス(7936)を挙げていた。酔っていたので詳細は覚えていないが、時価総額が1,000億円台しかないのはおかしいと言っていた(足元は1,700億円程度)。ミズノやアシックスは海外メーカーと比べ過小評価なのだろうか? ABCマートに行って履き比べてこようと思う。

Written by ニアプライム

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