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がんばれ、インターネット企業 −鈴木 崇生−

2010年05月07日

Ustream、ニコニコ生放送をご存知の方がどれほどいらっしゃるだろうか。平たく言えば、前者はアメリカで発祥した動画共有サービスであり、後者は日本で発祥した動画共有サービスである。共通項はインターネット上のサービスであるという点と生放送であるということだ。

Ustreamはソフトバンクの資本が入っており、ニコニコ生放送は、ドワンゴの子会社であるニワンゴのニコニコ動画上で展開されている。質と量で区別しようとすると両者は対極に位置するサービスであると認識しているものの、共に面白いのは生放送ならではの臨場感が味わえる点と、生の声が聞けるという点にある。スポンサーを意識した番組構成がとられないため恣意性がないと感じており、これこそが両社の魅力ではないかと私は感じている。編集がないため、発言を全て事実として受け止めることも可能だ。また、参加者は匿名ではあるが多様であり、専門的な知識も動画上のコメントで飛び交うこと、日ごろ接点のない専門家に直接質問を行える機会の提供など、インターネットの作り出した新しい空間が広がっている。

少し前から、不思議に思えて仕方のない数字がある。17,950対16,362という数字をご存知だろうか。
これは2010年1月24日に投開票された名護市長選挙の開票結果の数字である。
政局の焦点となっている普天間施設の移転問題に絡め、受け入れに反対する稲嶺進氏が僅差で制した数字だ。

私自身は稲嶺進氏、及び敗れた島袋吉和氏の主義主張を網羅しているわけではないため確実なことを述べられるわけではないが、両名とも移設反対の立場を取りながら選挙戦を戦った訳ではない模様である。

従って、名護市長選において普天間基地移設問題が最も重要なファクターであり選挙戦の決め手になったわけではないということと、名護市の全ての人が普天間基地移設に反対の立場を取っているわけではないことは、おそらく確かなこととして言えるであろう。

しかし、基地に移設されたら困る等、賛成派の意見は余り聞こえてこない。聞こえてくるのは反対派と政情のみである。

基地というものは安定した需要と雇用をもたらすものであることは否定できない。よって、そのメリットを享受したい方もいらっしゃるのではないかと考えられるわけだが、それらの声が聞こえてこない点にいぶかしさを感じる。沖縄の新聞紙の特性を考えるとさもありなんという感じも受けるわけだが、公正な情報の伝達という点から考えると疑問を感じずにはいられない。
既存のメディアには既存足らしめる資本なりスポンサーなりの背景があり、故にしがらみがあることは重々承知するものの、ことインターネットが総体として資本力で打ち勝つようになるにつれ、状況は変ってゆくだろう。インターネットは益々無視できなくなるはずだ。「だめだこれ」発言で物議を醸した勝間和代氏も、仮にインターネットがなければ、騒動一巡後に謝罪文をブログに出すという事態にならなかったかもしれない。

ディー・エヌ・エーの時価総額が放送局の時価総額に比肩して久しいが、大方のインターネット企業はまだ株式市場の中においても、商売の流れの立ち位置としても弱い状況にあると私は考えている。今日のような相場環境では、値幅の変動が物凄く激しかったりする。

十把一絡げに全ての企業を応援できるわけでは決してないものの、これからの時代を間違いなく築いていくであろうインターネット企業に対して、少しでも力に慣れれば良いなと考えると同時に、変化の波に取り残されないよう日々焦りを感じているところだ。

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