久し振りに寝坊し、ラッシュ時に出社した。電車を降り、最も会社に近い改札を目指し連絡通路を兼ねる他線のプラットフォームをいつもの朝のように歩いていた時のことだ。電車が後方から入ってきて右前方で止まった。最前列の車両から容姿も年齢も様々な女性だけが沢山どっと降りてきてその集団に自然と吸い込まれた。なんとも異様な光景に思えた。世界ではイスラム圏などの一部地域で宗教的背景から女性専用車両が存在するらしい。我が国では車両内での迷惑行為が原因でこうした車両が導入されたという。この国には公の秩序を守れぬ人が沢山いるということを示しているようで残念な気持ちになった。
先日終電近くの電車で家路を急いだ。通勤駅の終点で降りた。車庫に入る前の見回りを駅員さんがしている。時計の針は午前零時を回ろうとしたちょうどその時、二人の駅員さんに抱えられた泥酔状態の小父さんが降ろされたホームでそのまま寝込んでしまった。更に前方で大きな声がする。若いお兄さんがロングシートに仰向けで寝入っている。駅員さんの努力も空しく全く起きる気配がない。忘年会シーズンともなれば駅員さんはもっと大変だろうと想像される。凶悪犯罪が増加しているとはいえ、世界標準ではまだ治安は良く、お酒の失敗に寛大な島国日本ならではの光景ではないかと思えた。
電車内で最近感じた2つを挙げたが他にも大の大人同士が「押された、いや押してない」と言い争ったり、電車の少々の遅れで駅員さんが噛み付かれたり、学生が老人に車内マナーということで度が過ぎたお説教をされていたりと余り関心ができないことがよく目に付く。酔っ払い二人のその後は知る由もないが、早く家に帰り運動でもしてから近所の居酒屋か家でゆっくり飲めばよかったと酔いが覚めてから反省しているかもしれない。
電車内での決して喜べない、そしてよその先進国では余り見られないと思える現象や光景には様々な原因があるにせよ突き詰めればあらゆるものの無秩序かつ過度な都会への集中とそれによる社会全体でのストレスの高まりが根本的背景であるような気がしてならない。世界環境問題でリーダーシップを発揮していくというのは格好いいが、狭い住環境、過酷な通勤、ゆとりのない労働・生活環境という我々の生活環境問題は昔から一向に解決されず、むしろ他先進国との格差は拡大するばかりという気がする。電車内での現象から、サマータイム導入、フレックス勤務制の推奨、更に広く考えれば道州制など豊かな生活環境造りという視点での議論がもっとあって欲しいし、GNPは大きいが生活環境は貧しいという極東の不思議な先進国を脱皮して欲しいと思う此の頃である。
Written by Star