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地上デジタル放送移行の経済効果は? -White-

2010年01月29日

皆さんのご家庭ではもう、地上デジタル放送(地デジ)化しましたか?我が家ではようやく、この正月に地デジ化しました。これまで長い間、94年製のブラウン管テレビを使っていましたが、アナログ放送とデジタル放送の画質の違いに驚いています。

我が家の上空ではよく飛行機が飛んでいて、これまでは飛行機が上空を通過する際に画像がよく乱れました。また、受信力が弱い位置にアンテナがあるせいなのか、テレビの画像が非常に薄く、テレビの前を通ると、画像が乱れることもしばしばありました。これが一気にクリアな映像に変わったのには感動しました。

しかし、残念ながらアンテナや配線がかなり古いようで、一部のチャンネルがうまく映らず、アンテナや配線を交換する必要が生じました。我が家だけでも新たな需要が生まれたことを考えると、国内全体の話に置き換えれば、かなりの経済効果がありそうです。

2009年5月に公表された、総務省の「地上デジタル放送への移行に伴う経済効果等に関する研究会報告書」によると、2001年7月から2021年7月までの20年間で約249兆円の経済効果があるとされています。このうち、電子部品産業や対事業所サービス産業への波及効果が特に大きいそうです。2008年の名目GDP(国内総生産)は505兆円でしたから、2008年の名目GDPをベースに単純計算すれば、1年で実にGDPの2.5%程度の経済効果が得られることになります。依然として国内の景気は厳しい状況が続いていますが、地デジ移行は、実は電子部品産業やサービス産業の景気を支える一因となっているかもしれません。

報道情報によれば、地上デジタル放送の普及率は昨年9月時点で69.5%と、既に7割程度の世帯に普及しているようです。実際に各地域でこれほど普及が進んでいるかどうかは分かりませんが、地デジ対応のテレビやレコーダの価格がようやく一般世帯の手に届くまでに落ち着いて来たことは、消費者の立場としては喜ばしい限りです。

ただ、企業サイドの視点で考えると、これだけ液晶テレビやレコーダの価格が下がって来ているということは、製造を手掛ける電子部品産業の企業収益の圧迫要因になっていると考えられますし、デフレの促進要因にもなっていると考えられます。従って、地デジ移行が一概にいいことばかりとはどうも言えないでしょう。政府・産業界による地デジ移行への取り組みは、今後も国内へ経済効果をもたらしてくれそうですが、その過程で生じた歪みにもまた目を向けて取り組む必要がありそうです。

Written by White

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