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「今年の漢字」 -ニアプライム-

2009年12月25日

2009年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」が12月11日に「新」に決まった。2008年は「変」だった。主催者の(財)日本漢字能力検定協会(漢検)の前理事長父子が背任罪で逮捕・起訴されたことにより実施が危ぶまれていたが、会場を提供してきた清水寺が容認し、15回目の実施となった。全国から過去最多の16万余りの応募があり、応募の約9%が「新」だったという。「新」が選ばれた理由として、日米における新政権の誕生、裁判員制度などの新制度の導入、イチロー選手の9年連続200安打の新記録、新型インフルエンザの流行、などが挙げられている。新生漢検として再生を目指すという意味もこめられているようだが、果たして2009年の世相を表しているかとなるとピンとこない気もする。この時期、テレビでは各界の著名人に「今年の漢字」として何が思い浮かぶかというインタビューをよくしていたが、石原慎太郎氏と渡邊恒雄氏は、異なるテレビ番組で「衰」を挙げていた。流石に元芥川賞作家、元新聞記者だけあって的を射ている感がある。

6月以降、先進国の中で日本の株価だけが上がらなくなり、その理由として、ダイリューション(増資による希薄化)、民主党(DPJ)の政策不安、デフレの3Dが挙げられていた。もっと根源的なところで、少子高齢化の進展、国際競争力の低下が原因というメディアの論調もあった。流石に12月に入って日本株の出遅れはかなり修正され、極端な悲観論は後退しているようにもみえる。しかし、日本株の低迷はここ半年だけのことではなく、20年近くにも及ぼうとしている。体感的にもこの20年で日本は格差が広がっただけではなく、国全体、そして国民一人一人がひどく貧しくなった気がする。政治や官僚や日銀の金融政策が悪かったからなのか? しかも、今後は、急速に高齢者が増加しながら人口が減少していく。2050年には人口は9,500万人程度、65歳以上の比率が40%程度になるという。まだ、2009年は衰退への入り口に過ぎないのかもしれない。

民主党の政策は再配分ばかりで成長戦略がないといわれる。こども手当ては少子高齢化を食い止めるのに多少は効果があるかもしれないが、焼け石に水のような気もする。やはり、企業が稼ぐ力を回復し、若年層の雇用環境が改善しない限り、出生率の本格的な回復は望めないだろう。国内市場に成長力がない以上、中国、インド、ベトナムなどのアジアの新興国で稼ぐしかないだろう。地理的に近い日本は有利な気もするが、こうした国で売れるのはローエンド商品が中心のため、安価な労働力を背景にした現地企業と正面切って戦っても勝てないだろう。現地企業への出資や買収が日本企業の取るべき賢明な戦略と思われるが、それでは国内に雇用は生まれない。う?ん。一体どうすれば・・。「新」政権の政策に期待するばかりです。

Written by ニアプライム

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