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バリ?神々の島? -Cranberry Jam-

2009年11月20日

お休みをいただき1週間のバリ島旅行にいきました。温暖な気候、おいしい食べ物、バラエティー豊かな雑貨屋さん、にぎやかなビーチにのどかな田園風景、陽気で明るいバリの人々。日常の喧騒から逃れて心と体をリセットするには最高の場所でした。観光に買い物にマリンスポーツにと大満喫したのですが、中でも印象に残ったのは海に沈む夕日でした。神奈川出身の私は、山に沈む夕日しか見たことがなかったのです。

バリ有数の古刹 Uluwatu寺院を訪れました。海の霊を崇拝するアニミズムの聖地として10世紀ごろ創建されたものです。高さ70メートルもの切り立った断崖絶壁が海岸線に沿って続いていて、崖沿いの参道をしばらく歩いた岬の突端にめざす寺院があります。その裏手では、バリ伝統芸能のKecakも鑑賞できます。

参道を歩くと、眼下には一面インド洋が広がっています。もちろんバリではいたるところから海が見えるのですが、崖の上から眺めるとより広くより遠くまで見渡せて、圧倒的なパノラマとなって迫ってきます。水平線はゆるやかに、でもはっきりと弧を描いています。

隣に立っていた男の子が、海の先を指差して話しかけてきました。
「ずっといくとアメリカまで行ける?」
西を向いていたので方角は逆ですが、地球の丸さを感じていた私は思わずいいました。
「うん。いつか辿り着けるよ」
さっきまで強い光を放っていた太陽が、優しい光で私たちを包み込んでくれていて、夕日に浮かぶ崖と寺院が、幻想的なシルエットを描いています。

後ろからなにやら奇妙な音楽が聞こえてきました。Kecakです。Kecakとは、上半身裸の男の人たちが円陣を組み、「チャッ」と声を発してリズムやメロディーを奏でながら踊る舞踏劇です。
規則的に不規則になる呪術的なリズム、不調和な音階を行ったり来たりする霊妙な旋律、耳を介さず直に脳に響いてくるようです。そんな摩訶不思議な音楽が、後ろの木々の中から聞こえてきて、KecakをBGMに沈みゆく太陽をじっと見つめていると、だんだん恍惚としてきて体がフワフワし、催眠術にかかったようでした。

赤いまんまるのおひさまがついには青い大きな大きな円弧の上にぴったり乗っかって、1本の大きな光の線が海の上をまっすぐ私に向かって伸びています。あっ、モーゼ。大海原がオレンジ色の光の筋で真っ二つに割れているのです。モーゼが見せた奇跡だ。神様は、いる。そう思わずにはいられませんでした。

後日ダイビングで少しお年を召した女性と知り合いました。すっかりバリに魅せられて、ついには移住までしたそうです。若い頃から世界各地を旅して、最後に落ち着いた安息の地でした。
「海があって山があって川がある。物価が安くて食べ物がおいしくて、そして人がいい。アナタもおいでよ!」バリの太陽のようなその笑顔に、私は大きくうなずきました。
「ハイ、いつかきっと!」

Written by Cranberry Jam

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