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「新型インフルエンザ」と「鳥インフルエンザ」 -K.S-

2009年10月23日

新型インフルエンザが猛威を振るっており、今後1カ月程度が大きなヤマになると言われている。今週から順次ワクチンの接種も始まった。新型インフルエンザに関連したニュースは連日のように新聞やテレビで取り上げられているが、ところで、わが国で初めて新型インフルエンザの感染が見つかったときには「豚インフルエンザ」が通称だったように記憶しているのだが、いつのまに新型インフルエンザに統一?されたのだろう。「豚インフルエンザ」と対比するように報道されていた「鳥インフルエンザ」は、その後どうなっているのだろうかとぼんやりと考えていた。その時、びっくりするニュースが飛び込んできた。

先週の16日の全国各紙で、埼玉県越谷市にある宮内庁の「埼玉鴨場(かもば)」で飼育されているアヒルとアイガモから鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たと報道された。埼玉県が15日に実施した定期検査で4検体中3検体からA型インフルエンザの陽性反応が出て、高病原性の疑いもあると書かれ、今年2月の愛知県豊橋市の鳥インフルエンザ騒動では、何百万羽の鳥を処分せざるを得ない状態になっていただけに心配された。結論から言えば、精密検査の結果、ウイルスはH3型で低病原性、弱毒性ということで、取り敢えず危機は脱した感がある。
宮内庁の鴨場で鳥インフルエンザウイルスの陽性反応がでたからびっくりした訳では、もちろんない。埼玉越谷市にある宮内庁の鴨場は元荒川をはさんで私の家のすぐ近く。元荒川に優雅に泳ぐカモ(野ガモ)を見ながら毎日通勤しており、また、鴨場の両隣にある公園は、休日の日課としている犬の散歩場所でもある。強毒性の鳥インフルエンザではないと否定されたものの、近づきにくくなった。なぜか、今日は野ガモが見えなかったのも気になる——-。

新型インフルエンザと鳥インフルエンザについては、正確ではないかもしれないが、H1N1型が新型インフルエンザ=豚インフルエンザ、H5N1型が鳥インフルエンザと概ね理解している(その他にH3型やH5型もある模様)。新型インフルエンザと鳥インフルエンザの感染者数は日々増加していることもあり、内外とも感染者と感染による死者の正確な数値は掴めないが、新型インフルエンザが国内では感染者24万人程度で死者28人(10月21日現在)、世界では感染者86万人(おそらくもっと多いと考えられる)、死者6,400人程度。一方鳥インフルエンザは、国内では発症者はなく、世界30カ国では497人の発症で死亡272人程度と見られている。感染者数は圧倒的に新型インフルエンザが多く、致死率(死者÷感染者数)は新型インフルエンザが全世界で0.7%強に対して、鳥インフルエンザは5割を超えている。鳥インフルエンザは鳥からヒトに感染しているが、ヒトからヒトに感染した例はない。しかし誰でも考えるのは、もし、感染率の高い新型インフルエンザと致死率の高い鳥インフルエンザが変異して融合すれば—–。専門家も最も恐れている。

本年9月、段ボール業界最大手のレンゴー(3941)は自社開発の機能性素材である「セルガイア」を使用したマスクに、鳥インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果がある(京都産業大学・鳥インフルエンザ研究センター)と発表。同社は本年7月から、新型インフルエンザの企業備蓄向けにこの「セルガイア」を使用したマスクを発売しているが、生産を現在の2倍に増やし、3月末までに740万枚程度、10億円強の売上高を期待している模様。マスクの売れ行きで足元の同社の業績が変動する規模ではなく、また、同社はインフルエンザ関連としてほとんど株式市場で話題に上ることもなかったように思うが、今後のインフルエンザの展開次第では注目されるようになるかもしれない。

Written by K.S

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