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口先から世界が広がる -ゴーレム-

2009年08月21日

フェルミ推定が一昔前に流行った。シカゴのピアノ調教師は何人いるか?といった問題が有名である(そして、なぜか日本では国内に電柱が何本あるか?が多い)が、噛み砕いて言うと、突っ込まれても説明できるような前提を持って空想することである。慣れるまではなかなか難しいかもしれないが、『サイエンス脳のためのフェルミ推定力養成ドリル』(日経BP社)のような本格的な演習本もある。誰でも、フェルミ推定は出来るのであるが、あまりにも前提の知識がないと、頓珍漢な話となってしまうので注意が必要である。特に実社会でフェルミ推定を使用する場合は、ある程度の基本的な数字の感覚や知識が必要なため『国勢図会』などを読んでおくと活用しやすいと思われる(私も買ったものの、ろくに開かない。結果ろくに使えない・・・)。

基本的な数字感覚や社会の流れの大きなところは、ビジネス書よりも各種レポートの方が役立つことが多い。理由は、どうこう言っても軸となるアメリカではシンクタンクレポートがかなりの影響力を持っているし、実際、ネタ元である場合も多いと聞くことが多かったからだ(最近では米国家情報会議(NIC)の「グローバルトレンド2025」などhttp://www.dni.gov/nic/NIC_2025_project.html )。日本に例えるならば省庁もののレポートと考えた方が良いだろう。結局は仕事に必要なものぐらいしか読まないことが多いが、事実確認、社会の(表の部分?)を知るにはもってこいである。妥当と考えられるモノゴトからの推論は大きなはずれはないと言えるだろう。

最近、話す内容が非常にためになる方がいる。写真家と新聞社の方。両人とも同じようなことを言われる。「リアリティのない話は聞きたくない」、「自分の分析を話せ」と、酒飲み話ではあるのだが、2次情報を嫌がる。そのような話は退屈でしかたがないのだろう。そのような場合、話す方にも幅広い知識、否、知識がなくとも自分の頭で素早く応えること、とりあえずの前提を置くことが求められる。大変ではあるのだが、非常によい頭の体操になっていると思う。話題も、中東やアフリカ、京料理や郷土料理など、私はもっぱら聞き役と少しの会話であるが非常に楽しい。前提を基に、理由を言って結論、理由を言って結論。しかし違うと言われながらも会話が続く。その場だけではあるが、理由を言って結論を言っていると、時には陰謀論のようになったり、合点がいってしまって、何でも知ってしまったような錯覚に陥ってしまう。口先から世界が広がる感覚である。少し堅苦しい会話かと思われるかもしれないが(いつもしているわけではありません)、お試しあれ。

Written by  ゴーレム

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