メニュー
TIW Cafe

古いものを大切に -Julien-

2009年08月14日

来年のNHKの大河ドラマは「龍馬伝」である。三菱財閥の創設者・岩崎弥太郎の目線で描く青春群像劇との事である。福山雅治が坂本龍馬、妻のお龍さんを真木よう子が演じる。そのお龍さんにまつわる話しであるが、先日、女房が法事の後の会食で横浜の田中家という料亭に立ち寄ったところ、女将からこの店には明治8年頃、お龍さんが仲居として働いていたと聞かされたとのことであった。ネットで調べたところ、その田中家の前身は「さくらや」という腰掛茶屋で、安藤広重の東海道五十三次の神奈川台の景に登場しており、神奈川宿ゆかりの店舗として唯一の存在になったとのことであった。周りはすっかりマンション群になってしまい、雨戸を閉めるにも音がうるさいと苦情がくることから困惑しているとのことや建物は火災などにあって当時のものでないことなどから歴史的建造物の指定には横浜市からは色よい返事がもらえないなどの話しを聞いたそうである。時代に押し流されて、ここもやがてビルとなり、歴史的な建造物や場所がまたひとつ消えていくことになるとしたら寂しい限りである。

横浜市の市長といえば先ごろ辞意を表明した中田宏氏であるが、彼は37歳で当選しており、当選時の年齢としては6月の千葉市長選で当選した31歳の熊谷俊人氏が記録を塗り替えるまでは政令指定都市に限ると全国最年少の市長であった。因みに現職市長としてのこれまでの記録は今年1月に33歳で当選した三重県松阪市の山中光茂市長であった。

松阪というと私の生まれ故郷である。松阪市は蒲生氏郷を開府の祖とする町であるが、三井財閥発祥の地でもある。その松阪の町は大戦の戦火を免れて昔の城下町の面影をそっくり残す町であったが、1980年代に駅前と中心商店街の近代化のための事業で美しい町並みが壊され無機質な町にと変貌してしまった。今にして思えば、そのまま保存されていれば、伊勢神宮の内宮にある「おかげ横丁」の比ではなく、伊勢観光の目玉になっていたと思われ残念である。当時の市長は誰であったかは知らないが、先見の明があれば、むやみに古い物を壊そうとせず、保存すべきであったと思われる。いまさらいっても始まらないが、後悔先に立たず。横浜の田中家は残して欲しいものである。ここが誰々の住居跡とか数寄屋橋ここにありきなどの碑をみるのは寂しいものである。

歴史的建造物と同じように扱えというのではないが、今度、政権を握る政党は高齢化社会の不安を解消する政策に邁進して欲しいものである。古いものを大切に。


 

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る