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井の中の蛙、大海を知る -Cranberry Jam-

2009年06月26日

井戸から飛び出した蛙、といっても最近耳目を集めているおたまじゃくしが降ってくる話ではありません。インターネットのお話です。世界中とつながっているインターネット。でも世界とのつながりを実感したことはあまりありませんでした。ヤフージャパンから日本語で検索し、読むページも全て日本語。何かの間違いで英語のページが開いても、目を通さすにすぐに閉じてしまいます。ネットサーフィンとはいってもずっと日本の中だけでサーフィンをしていたのです。外には大海があるのに。

そんな蛙の私が、ついに意を決して井戸を飛び出すことにしました。英語に対するアレルギーを克服すべく、言語交換サイトに登録したのです。ユーザー同士がお互いの母国語を教え合うSNSサイトです。日本に興味があって日本語を勉強したい外国人はけっこういるようで、ログインしていると日本語を教えて下さいとチャットを申し込まれます。日本語のレベルはピンキリで、 “This is difficult to cook.” これを日本語に訳すから正しいかチェックしてほしいとしばらく待たされて、「これはむずかしをりょうりだ」くらいの人から、日本語お上手ですねというと「とんでもございません」という人までいます。今まで何人かとチャットしましたが、国籍はアメリカ・イタリア・トルコ・インド・イエメンなど国際色豊かです。

その中でもラーケーさんというインド人とのチャットが少し変わっていたのでご紹介します。キッカケは「iPhoneが欲しいんだけど、日本で買ったらいくら?」という質問でした。日本で買っても海外のキャリアでは使えない旨を伝えると、「ドバイでSIMロック解除できる」と言うのです。ド、ドバイってあのドバイ?ずいぶんスケールの大きい話だなと思いながら、調べて教えてあげました。「ワーォ、インドより安いけどその値段ならアメリカで買ったほうがいいね」という反応。なんでもラーケーさんは客室乗務員で、いろいろな国に行くので一番安い所で買いたいらしいのです。その後食べ物の話になり「私が知ってる日本人はみんな辛いものが食べられない」と言うので、私は辛い物が好きだというと、「キムチは好き?」と聞かれました。大好きだよと答えると「じゃあ買っていってあげる」と言うのです。ん?どういう意味?と思っていると、なんでも翌日が韓国の仁川経由で大阪へのフライトとのこと。「仁川であなたのためにキムチを買ってあげる!」え?本場のキムチを?「そう。だから関西国際空港まで取りに来て!」と言われました。「家からどれくらいの距離?」と聞くので、500kmと答えると、「近いね。」というまさかの反応。どんな距離感覚してるんだろう。取りには行けないというと、「なら郵送するから本名と住所を教えて。」というのです。個人情報の漏洩がニュースになるこのご時勢、見ず知らずの人、しかも10分やそこらチャットしただけのインド人、どうしよう‥少なからず不安はありましたが教えることにしました。「仁川は滞在時間が30分しかないけどたぶん買えるから大丈夫!」そう言い残してラーケーさんはチャットウインドウを閉じました。

そしてその3日後、キムチは本当にやってきました。しかもご丁寧にクール便で。すぐに写真を撮ってお礼のメールをすると、数日後に返事が。「喜んでもらえたみたいで良かった。私は今カサブランカにいるわ。一刻も早くインドの家に帰りたい。とても疲れているの。でもまたすぐに行かなければならない。今度はどこだと思う?それが信じられないことに、なんとまた大阪なのよ!」

ラーケーさんお疲れさま。少し疑ってごめんね。そして本当にありがとう。ナマステ!

Written by Cranberry Jam

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