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景気のバロメータは食にあり -Julien-

2009年06月12日

株価は景気のバロメータと言われますが、株価だけではなく景気の動向を判断するのに役立つのはテレビ番組の変化ではないでしょうか。民法のテレビ局は企業の宣言・広告による収入(放送事業)で成り立っており、経済情勢の悪化は広告市場を直撃し、収入減をまねきます。そうなるとテレビ局は番組制作費を削減しなくてはならないのは自明の理といえます。制作費が嵩むドラマや高額タレントの使用を避ける傾向が顕著となり、再放送でお茶を濁したり、ギャラの安いお笑いタレント中心のバライティやクイズ番組が増えるようになってきます。

そのなかで、番組そのものが消えるものもあります。それは、大食い番組です。飽食の時代の申し子ともいえる大食いタレントはフードファイターと呼ばれ、一世を風靡しました。バブル崩壊後に姿を消したかにみえましたが、2003年を底にした株式市場の上昇と景気回復の過程で見事に復活しました。しかし、今回の世界規模の大不況でとんとこのような番組が少なくなった感があります。勿論、グルメ番組、料理番組など人間が生きていく上で必要な食に関する番組は手軽な番組として依然人気はあります。余談になりますが、大食いタレントのなかでも、美味しそうに食べ、食べ方もきれいなことからギャル曽根は見事にグルメ番組向けのタレントとして生き残っています。彼女は食べているものがおいしそうに見える胃袋刺激タレントの第2位に選ばれています。

 それはともあれ、かねがね、大食い番組には不快な思いをしていた人は多いと思います。日本では年間約1,900万トンの食品廃棄物が排出されており(2005年度のデータを基に農林水産省が推計)、このなかには本来食べられるにもかかわらず捨てられているもの、いわゆる食品ロスが約500?900万トン含まれていると推計されます。1,900万トンは途上国の7,000万人以上が1年間食べられる量に匹敵するといわれています。このような大不況のなか、テレビ局も食べ物の価値観が問われるような類の放送を自粛するのは当然のことと思われます。

 2004年に植林事業であるグリーンベルト運動などが評価され、ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境保護活動家(元環境副大臣)、ワンガリ・マータイ女史は日本語の「もったいない」を地球環境保護運動の合言葉として提唱しています。何事にも「もったいない」を実践していた日本人の美徳はどこにいってしまったのでしょうか。勿論、食品リサイクル法が施行された2001年度からは再生利用等の実施率は着実に上昇しています。家庭やスーパーが出す生ごみなどの食品廃棄物で製造したバイオエタノールを混合した燃料による自動車の走行実験や生ごみからバイオ醗酵でメタンガスを取り出し燃料電池を利用した発電などが進んでいることは事実です。省エネ技術がそうであったように日本は化石燃料に変わるクリーンエネルギー分野でも「もったいない」精神を遺憾なく発揮して、低炭素社会の手本を世界に示してもらいたいものです。

さて、本題に戻りますが、日本の景気が回復したどうかの目安として、年に2、3回放映されるビートたけしと高島彩がMCを勤めるフジテレビの平成教育委員会スペシャル(毎週日曜日放送の熱血!平成教育学園でない)に注目してみて下さい。これまでの放送では給食と称し、優秀な解答者には数店の超高級料理がご褒美として提供されていたのが、5月3日の放送では、なんと料理は1店のみ。量も少なく、明らかに不況の風が番組の制作に吹いているのがみてとれました。次回の放送は夏休みか秋かはわかりませんが、少しでも料理が豪華になっていたら、景気は最悪期を脱し、回復に向かっていると判断していいでしょう。とはいえ、景気が回復しても、腹八分目が肝要かも知れません。

Written by Julien

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