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お酒を飲まないコンパなんて - Zimmy-

2009年02月20日

 
先日、都内にある某私立大学経済学部でアジア経済などを教えているT准教授が神保町に書物を買いにこられたので、久しぶりに昼ごはんを食べながらお互いの近況などを語り合った。T先生とはほぼ同い年で、卒業した大学は違う(先生は有名私大の政経学部、私は地方国立大の経済学部)ものの、ゼミでは同じ官庁エコノミスト出身の先生に日本経済を学んだいわば兄弟ゼミの出身者同士で、知り合ってからは早いもので20年ほどが経過した。
 
T先生はもともとが日経新聞の記者だったこともあり、お会いすると決まって経済の議論になるが、今回は個人消費の話から転じて現代学生気質の話題になった。まず私が「ユニクロを例外とすれば個人消費が完全に冷え込んでおり、小売業界は全滅といった感じです。とくに百貨店がひどい。誰も何も買わなくなっていますが、学生さんの消費はどんな感じです?」と水を向けた。
 
T先生は、「今の学生さんは本当にお金を使わないですよ。節約が当たり前になっています。ほとんどがアルバイトをしていますが、そのお金は一般的な消費ではなく悉く携帯電話のお金に消えているようです」とのことであった。先生は続けて、「学生は携帯のニュースから情報を仕入れているので、大体の政治経済の動きは知っています。しかし本や雑誌を読んでいないので、本質的なところはあまり分かっていませんね」と嘆かれた。
 
今の学生さんの親の世代は40代後半から50代にあたる。とすれば、バブル崩壊後に会社が倒産したり、リストラに遭遇したりするなどで多かれ少なかれ苦労した世代に間違いない。お父さんが失業を余儀なくされたケースや自分の学費を捻出するためにお母さんがパートに出たということもあったかもしれない。そうしたことを目の当たりにして育ってきたから、今の学生さんには節約が当然のものとして身に染み付いているのだろう。
 
最後にゼミのコンパ(飲み会、今でもこう言うのだろうか)の話題に移ったが、それについてのT先生の話には驚きを禁じ得なかった。先生のゼミには16名の学生が所属しているが、コンパでお酒を飲むのはわずか1名という。思わず私が「先生、それでは飲み会ではなく食事会と変わらないじゃないですか」と言ったところ、T先生は「いや、まさにその通りです。大いに飲んで喧々諤々と議論した我々の頃とは全然違います。とても寂しい気がします」とのことであった。
 
大学周辺から雀荘が姿を消してから何年かが過ぎた。もしかしたら、かつて学生で賑わっていた古くからの居酒屋には閑古鳥が鳴いているのかもしれない。
 
Written by Zimmy

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