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大衆薬の規制緩和について一言 - みかえる2号-

2009年01月16日

今年6月の改正薬事法施行により、一般用医薬品の販売規制が緩和される。一般用医薬品とはいわゆる薬局・薬店で販売されている大衆薬のことで、これに対し医師の処方箋に基づいて調剤薬局で交付される医薬品は医療用医薬品と呼ばれている。一般用医薬品は薬剤師のいる薬局・薬店での対面販売が義務付けられているが、6月からは法改正で新設される販売登録者を薬剤師の代わりに配置すれば、薬局・薬店以外のスーパーなどでも大方の一般用医薬品を取扱うことが可能となる。

ドラッグストア市場は利便性に加え、高齢化人口の増加や未病に対する予防意識の高まりなどから07年度まで8年連続の市場拡大が続いており、少子化により国内市場の低迷にあえいでいる異業種にとっては魅力的な市場だ。このため、新規参入に向け、家電量販店首位のヤマダ電機が大型店舗内に大衆薬売場を早々に設置したり、セブン&アイ・ホールディングスが調剤首位のアインファーマシーズと、イオンが同3位のクラフトと提携するなど、動きが活発化している。これにより、これまでドラッグストアでは家庭用洗剤や化粧品などを客寄せの目玉商品に使う一方、大衆薬はほぼ定価販売が守られてきたが、6月からは新規参入組との競争激化により、大衆薬の値下げが進むことがほぼ確実な状況である。

私たち消費者にとって、定価販売が基本であった大衆薬の値下げが進むことは有難いことだ。医療費抑制を目指す政府にとっても購入費用が全額負担の大衆薬の普及拡大は規制緩和の大きな目的であったことは推測できる。しかしこれまでは、6年も大学で勉強した薬剤師にのみ限定されていた大衆薬の扱いが、1年の実務経験が必要とは言え、合格率7割(08年8月から10月にかけ実施された試験結果)の、1年くらい真剣に勉強すれば合格出来そうな販売登録者に移るのは、垣根を下げすぎのような気がしてならない。厚生労働省は同じ法改正で、インターネットを含めた通信販売での医薬品販売は対面販売と比べ購入者の状態を的確に判断することが困難であるなどの理由から販売を規制する方針だが、資格を持った販売登録者なら、購入者の病状や他の薬との飲み合わせなどを的確に判断できるのだろうか(経験によって差はあるだろうが)。命に関わる医療分野の規制緩和である。安心面の整備がもっと必要ではないだろうか?と思えて仕方がないのだが、「そんな心配の人はこれまで通り、薬剤師のいるお店で買ってください」ということに落ち着くのだろう。

Written by  みかえる2号

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