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神武以来の天才 -Zimmy-

2008年12月12日

私の趣味の一つに将棋がある。下手の横好きの域を出ないが、一応日本将棋連盟二段の免状は持っている。但し、これはいわゆるペーパー二段で、数年前に友人と連れ立って吉祥寺の将棋道場へ出かけ、居合わせた方と2?3局対戦したところ道場主から「この次からは1級でお願いします」と言われガッカリしたことがあった。

かつては茅場町にある証券会館6階に協和会(東証会員証券会社の将棋部的な存在)の将棋・囲碁コーナーがあった。バブル初期の頃は11時に前場が引け、後場は1時からのスタートだったので、昼食後は毎日のように同僚と将棋を指していた。古き良き時代だった。その頃行われた証券会社対抗の将棋大会にいつものメンバー2名とともに三洋証券チームとして出場した。1回戦の相手は大和証券Bチーム。全力で戦ったが、1勝2敗で惜敗した(私は2敗のうちの1敗を献上)。懐かしくもほろ苦い思い出である。

当時ほどではないが、現在でも細々ながら将棋の勉強は続けている。とは言っても、対局の機会はなく、新聞の将棋欄でプロ対局の棋譜を眺め、日曜日のNHK将棋対局を観戦する程度に止まっている。いずれ仕事を退いたら、時間ができるのでボケ防止のためにも再び将棋に打ち込むことになるかもしれない。

ところで、プロの将棋界では名人と並び最も格付けが高いタイトルである竜王位を争う7番勝負が渡辺明竜王と挑戦者羽生善治名人の間で戦われている。両者ともに永世竜王の称号がかかっているだけに白熱した勝負となっており、昨日行われた第6局では、渡辺竜王が勝ち3勝3敗のタイとなった。17?18日に行われる最終局が待ち遠しい。

プロ棋士と言えば、ちょうど1カ月ほど前の会社帰りのこと、JR吉祥寺駅ビル内の惣菜屋さんで加藤一二三九段(元名人、王将、十段)にバッタリお会いした。加藤先生は将棋が強いのはもちろんだが、ファンの間では対局開始早々での3時間を超える大長考や対局時の奇行でも知られている。また最近の新聞によれば、お住まいの集合住宅の住民から野良猫への餌やり差し止めを訴えられたという。

序盤の大長考について一ファンの立場から言えば、加藤先生はまだ局面も煮詰まっていないのに一体何を考えておられるのか不思議で仕方がない。しかしそこは「神武以来の天才」と称された加藤先生なので、たぶん類稀なる集中力で投了図まで読みきっておられるのだろうと推察する。凡人には想像もつかない境地と言えよう。

さて加藤九段に気づいた私は初対面ながら躊躇せずお声をおかけした。「加藤先生はじめまして。私は先生のファンで、いつもテレビで応援しています」と言ったところ、先生は「ホー」と頷かれた。私のカバンには加藤先生の揮毫された扇子(将棋連盟で販売)が入っていたので、すかさず「先生の扇子はいつも持っています」とお見せした。先生はビックリされて「私の(扇子)ですね。何か書きましょうか」と申されたので、一筆お願いしたところ「剛毅」と扇子の隅にお書きになった。

惣菜屋にいた人達は、何事だろうと奇異に思われたことだろう。しかし私にとっては、「神武以来の天才」と話をすることができたうれしい一日となった。

Written by Zimmy

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