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埋蔵金は本当にあるのか? -ニアプライム-

2008年12月05日

1989年にTBSが社運をかけてスタートさせた2時間の単発特番「ギミア・ぶれいく」の名物企画として「徳川埋蔵金発掘プロジェクト」があった。バブル崩壊により閉塞感の漂う90年代に人々の心を捉えた人気番組だった。筆者もかじりついてみていた。

「徳川埋蔵金」とは、大政奉還当時に勘定奉行だった小栗上野介忠順が、幕府再興のための軍資金とすべく、知行地の上野国群馬郡権田村の近くの赤城山に360万両(時価数千億円?)を隠匿したというもの。官軍が江戸城を接収した際に金蔵が空だったことや、権田村に隠遁していた小栗上野介が官軍によって斬首されたことから生まれた伝説だ。番組では群馬県出身の糸井重里が率いるプロジェクトチームが大掛かりな重機を何台も持ち込み、赤城山の「源次郎の井戸」跡を中心に掘って掘って掘りまくっていた。当然のように、何も出てこないまま番組は終わってしまった。

が、今秋の番組改編で「ギミア・ぶれいく」のリメイク版として誕生した「キミハ・ブレイク」の10月14日の初回放送「篤姫は知っていた! 徳川埋蔵金大発掘! 決戦の時!」で9年ぶりに復活した。見逃してしまった。無念!今後、シリーズ化されるのかTBSの友人に電話して聞いてみたところ、酔っ払っていた友人に「5兆円相当の埋蔵金が発見されたので、もうこの企画は終わりだそうだ」と言われた。

馬鹿な! そんなニュース聞いたことがないぞ。

「徳川埋蔵金」発見の真偽のほどは定かではないが、上州の山奥まで掘りに行かなくても幕府のお膝元に40?50兆円もの埋蔵金が眠っているという。発見したのは竹中平蔵の軍師として有名になった高橋洋一現東洋大学教授で、2007年11月に早期増税を目指す自民党の財政改革研究会(当時は与謝野馨会長)によって「霞が関埋蔵金」と命名された。流石、与謝野鉄幹・晶子の孫。糸井重里顔負けのコピーの才能で、2008年のユーキャン新語・流行語大賞においてトップテンを受賞した。ところが、「埋蔵金」とは掘っても掘っても出てこないという意味で使われたので、受賞式に出席したのは、命名者の与謝野馨経済財政担当大臣ではなく、政敵で「埋蔵金」は存在すると主張する上げ潮派の中川秀直元自民党幹事長だった。

「霞が関埋蔵金」とは「母屋がおかゆをすすっているのに離れがすき焼きを食っておる」と塩爺が評した離れ(特別会計)の剰余金(特別会計の資産と負債の差額)のことをいう。主な埋蔵場所は財政融資資金特会と外為特会(為替介入の原資となる)だという。それぞれ20兆円弱が埋まっているらしい。本当に「霞が関埋蔵金」が40?50兆円もあるのなら、消費税を1%引上げても2.5兆円にしかならないことを考えれば1回ぽっきりとしても巨額だ。ただし、外為特会の積立金は1ドル100円を切ると為替評価損によりゼロになると財務省は国会で答弁しており、足元ではそんなにあるのだろうか?いずれにせよ「霞が関埋蔵金」は官僚や早期増税派がいくらないと強弁しても恐らく存在する。かといって、埋蔵金を国債の返済に充てるだけならネットの政府(国民)の資産は増えない。民主党案のように埋蔵金を原資にバラマキをするのがいいのか?う?ん。やはり、無から有を生む「徳川埋蔵金」の方が景気浮揚に役立つのかもしれない。暗い世相にはロマンが求められるところだし、「キミハ・ブレイク」で続編をやって欲しいものだ。


Written by ニアプライム

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