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CHANGE?変革の時? -高井戸の星-

2008年11月14日

アメリカの次期大統領選でのオバマ候補の勝利にはある種の感動を覚えた。もちろん事前の世論調査などでオバマ氏優位のニュースは流れていたので、ビッグサプライズという訳ではない。しかし、アメリカでこんなに早く黒人の大統領が誕生するとは筆者はもとより多くの米国民も1年前までは想像できなかったのではないだろうか。アメリカという国の懐の深さに改めて感心させられた。CHANGE(変化)を掲げる若いオバマ氏のメッセージが流れを変えたい人々の琴線に触れたと思われる。イラク問題や金融危機に端を発する景気低迷をもたらした現政権に対する不信感も背景にあったとみられるが、黒人票のみならず白人の若年層を含む幅広い層の人々の支持を得たオバマ氏は人を惹きつける魅力やカリスマ性もあるのだろう。オバマ氏の父方の祖国であるケニアでも最近では盛り上がっているようだ。大国のリーダーとしての指導力は未知数とはいえ、良い方向に向かうことを期待したいところだ。

もともとアメリカは多様性を自国の強みに変えてきた歴史を持つ。最初は英国や欧州大陸から人々が押し寄せ、その後アフリカから黒人を奴隷として集め、19世紀からは東欧やユダヤ系などの移民が、また、20世紀はアジアや中南米からの移民原理いう具合に、様々な文化、考え方の人々がぶつかり合う中で民主主義を磨いてきたといえるだろう。行き過ぎた資本市場原理主義、政府と軍需産業との癒着、社会格差の拡大、外交面では価値観の押し付けなどアメリカの負の部分が指摘されることも多いが、それ以上に世界経済を牽引する活力、民主主義のダイナミズムという点ではやはりアメリカが世界をリードしているといえる。足元の経済環境は最悪であるが、この大統領選で見せた民意によるCHANGEのパワーが健在であることからすれば、回復基調に入った時のモメンタムも大きいと筆者は考えている。

一方、問題は我が国、日本である。最近は定額給付金に所得制限を付けるかどうか、付けるとしたらいくらで線を引くか、高額所得者には自発的な辞意を求めるかなどでもめる出来事があった。何だか非常に出来の悪い芝居を見せられているような気分だ。やはりリーダーの役割は重要である。日本も真の意味で民主主義をレベルアップし、CHANGE(変革)を果たさなければ、株価同様に低迷状態から抜け出せないだろう。その為には、一人ひとりがお上に頼らず、日本を動かす壮大なジグソーパズルの1ピースであるとの認識が重要だと思う。危機はCHANCE(好機)でもある。アメリカの変化に倣って日本も良い方向に一歩踏み出して欲しいと願う今日この頃である。

Written by 高井戸の星 

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