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社員に読ませたい書籍? -BUG-

2008年10月10日

先日連休を利用し、筆者が故郷・神戸に帰省したときだが、神戸ハーバーランドに一風変わったオブジェが飾られていた。「槍投げをする劉備」、「駆け出す孫権」、「馬戦車を引く曹操」、言わずもがな中国「三国志演義」の主人公達であるが、北京オリンピック開催の前後ということもあって、古代オリンピック競技の様相であった。四年に一度のオリンピックも今回の北京開催では、液晶テレビを始め家電製品で盛り上がりに欠けた印象だが、一方1,800年の時を越え西暦180年頃から約100年続いた三国時代に今スポットライトが当たっている。

筆者の中の「三国志演義」といえば、幼い頃に友人宅へ行ってはコーエー(9654)のゲームソフト「三国志シリーズ」に明け暮れたという思い出が強い。将軍の獲得、計略、内政、軍事、資金集めなど自分の領土を広げるため、中国全土を統一するため睡眠時間を削った。その時代には、学年に1人は「三国志演義」に登場する人物の名前を全て暗記している者がいるなど、男子を中心に人気は高かったように思う。本を読むのは嫌いだが、小説「三国志(吉川英治著)」や漫画「三国志(横山光輝著)」は愛読書という友人も多かった。

しかし近年、小説や漫画のみならず、「三顧の礼」や「泣いて馬謖を斬る」など忠義心、節義を尊崇する姿勢に習ったビジネス書などが発売されている。蜀の軍師「諸葛亮孔明」の戦略を企業経営に活かそうという啓蒙書も存在するほどだ。テレビ番組のアンケートでは「新入社員に読ませたい書籍」のトップクラスにもランクインしている。確かに「三国志演義」は歴史書物という観点のみでなく、100名を超える登場人物の生き様や思想などが魅力であると筆者は信じているが、ビジネス書まで広がりを見せていることには正直驚いた。

また直近では、某経済雑誌が三国志ビジネスを特集し、「単なる歴史書というジャンルだけでなく、多種多様なカルチャー、さらにはビジネスの1つとして形を変え始めた」と更なるブームの兆しを示唆している。ゲーム、小説、漫画、ビジネス書に加え、今後アニメーションや映画などもその一端を担う存在へ昇華するとのことだった。当初、上記意見に否定的な見方であった筆者であるが、その特集を読み進めてゆくうちに、現在は意外と女性ファンが多いことを知った。中国「三国志演義」と、日本の「アニメーション」や「コスプレ」などサブカルチャーが水魚の交わりとなり、男性のみならず新たな層でのファンを発掘しているようだ。

そして、今年11月には国内で「レッドクリフ」が映画公開される。208年の「赤壁の戦い」(現在の湖北省赤壁市)をモチーフにジョン・ウー監督が人生を賭けた作品で、映画化不可能といわれた「三国志演義」を広大なスケールで甦らせる。先行公開されたアジア諸国では興行記録を更新するなど破竹の勢いが止まらないが、国内においても旋風が巻き起こる可能性は高い。


Written by BUG

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