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ビジネスマンのPLとBS -ラ・マンチャ-

2008年06月06日

先日、知り合いのコンサルタントと酒を飲んでいたときに、ビジネスマンのPLとBSという議論になった。
例えば「PLは高いけどBSの低い人」とは、専門性もあって能力も高いけど、人望があまり高くなく、人的ネットワークが限定されているような人を指す。
「PLは低いけどBSの高い人」とは、とりたてて業務上の特技はないものの、まとめ役であったり、キーパーソンにコンタクトできるネットワークを持っているような人を指す。

つまり、PLとは専門知識、業務処理能力など直接収入に結びつく能力、BSとは人間性(包容力、忍耐力、意思の強靭さ、など)、リーダーシップ、コミュニケーション能力、人的ネットワークなどが当てはまるのではないだろうか。BSは直接的にはあまり収入には結びつかないものの、ビジネスが大きくなるほど欠かせないものになる。
よくスキルアップというとPCなどITリテラシーの向上、各種資格の取得、大学院進学・留学などが取り上げられ、また、それが就職や転職時に評価を受けやすいことから、社会全体としてやや勘違いを引き起こしているように感じられる。

確かにスキルや資格もBSを構成する要素でもあることには違いない。しかし、本当の意味のBSは一朝一夕には構築できない。それは長年の業務経験や人的交流によって築かれた信用(=ブランド)に他ならないからである。
年功序列型終身雇用が崩れ、人材の流動化が促進されたことによって、BSよりもPLに光があたりがちである。成果報酬制度の導入によって、直接収益に結びつく結果が重視されるようになったこともこうした傾向に拍車をかけている。

ただし、人材の流動化によってBSが尊重されなくなったことにも合理性はある。人的ネットワークが組織ならびにその周辺という限られた環境の中に限定されていたことから組織が変わると全く役に立たなかったり、自分自身に帰属すると思っていたブランドは大企業の役職者という看板に過ぎなかったり、社会・技術の変化によって身に付けた業務経験そのものが大きく劣化していたり。結局、言ってみれば本当の意味のBSを獲得できていなかったということなのだが…。

確かに若い世代はPLで勝負をしなければならないだろう。しかし、PLだけで勝負を続けることにはアーティストや一部の学者を除けば、限界があることは言うまでも無い。
しかし、BSの厚みを獲得するにはPLも重要である。したがって、PLを磨き続ける努力も怠ってはいけない。
また、PLの差は比較的短期間で縮まってしまう可能性があるだけに、40歳を過ぎたらPLだけでなくBSの勝負をしてゆかなければならない。
昔読んだヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」の主題は”たとえ、どんな道を通ってきたとしても到達するところは一緒である”という内容であったが、最後は「人間修行」ということなのだろう。

余談ですが、高学歴、高身長、高収入(勤務先が有名企業)にもかかわらず全く女性にモテナイ人があなたの知り合いの中にも1人くらいは居ませんか?

Written by ラ・マンチャ

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