メニュー
TIW Cafe

「テクニカル」が意味するもの -ラ・マンチャ-

2008年04月18日

以前の話ではあるが講演会で「テクニカル分析は信用できない」という発言をして来場者の一部から顰蹙を買ったことがある。後から言葉が足りなかったと反省をしたのだが、単純にチャートの形だけを見て判断することや、中長期投資の銘柄選択には有効性が乏しい、ということを申し上げたかったのである(これにも反論はあるかもしれませんが)。

テクニカル分析という定義も人によっては違いがあるかもしれない。株価チャートを見ること全般についてテクニカル分析と定義する方もいらっしゃるかもしれない。
私自身も株価チャートは良く見るほうだ(余談だが、あるヘッジファンドに強い外資系証券では調査部の企業アナリストが何よりも「ゴールデンチャート」を重視しているという笑えない話もある)。しかし、結果としてのチャートの形ではなく、その形が形成された理由について考えるためである。株価が、急騰・急落した場合の発表や報道、マーケット全体との関連性、その時点での材料・テーマ・マーケットコンセンサス、など。ただし、個人的にはこれを「テクニカル」とは呼ばずに「ヒストリー」(あるいは「ヒストリカル」)と考えている。

テクニカル分析が優位性を持つのは、短期(数日?長くて3ヵ月)の投資である。
デリバティブ・トレーダーで巨財をなした筆者の友人は、チャートしか見ないと豪語していた。テクニカル(特に日足)はマーケット心理を良く表しているだけに行動ファイナンスの視点から研究が進めば面白い結果が出るかもしれない。もう一つ、テクニカルが有効性を持つのは、皆がテクニカル分析の視点を持って行動している時である。米国ではローソク足をあまり使わないので、米国株には日本的なテクニカルはあまり有効ではないという話を聞いたことがある。ただ、米国人と日本人のメンタル面の違いもあるのかもしれない。

今週、日本テクニカル・アナリスト協会で開催された「酒田五法」のセミナーを聞く機会があった。講師は或る証券会社の投資情報部長の方であったが、チャートが形成される裏側の投資家心理を考察することを強調されていた。言われてみればそうだね、ということも多く非常に勉強になった。
ファンダメンタルから株価を考えるときも最終的には投資家心理を考えなければならない。決算発表などのイベント、さらにはそこで出てくる結果・見通し、それに対して一般的な投資家がどんなリアクションを持つのか。
もしかしたら、投資理論を学ぶ前に、まずは人間についてもっと学ばなければならないのかもしれない。

Written by ラ・マンチャ

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る