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「温泉を放浪して思うこと」 -温泉美男子-

2008年03月28日

温泉が大好きである。ゆったり1時間半をかけて入ると心も体も生き返る。
先週末は少々足を伸ばし宮城の「鳴子温泉」に浸かってきた。

東京駅から東北新幹線の古川駅まで2時、さらにローカル線に乗り換え、山の緑を愛でること小1時間、目的地に到着。まずは旅の醍醐味を満喫すべく、温泉街をぶらぶらして温泉まんじゅうの食べ歩きをする計画・・・だった。ところが見通しのいい温泉街を見渡しても人がいない。当然ながら、湯気の立ち昇る大きなせいろも、恰幅のいい温泉美人のおばちゃんも見当たらない。もはや旅館に戻りたくなる気持ちを抑えつつ、観光案内に「試食可能」とあるお店に足を運ぶ。
ようやく念願の温泉まんじゅうに到達した。愛想のいい店主の笑顔にほだされ、お土産を買おうとすると、「これは保存が効かないから、今日中に食べれる分だけ買ってね」と一言。「もったいないから売れ残り商品を再利用した」どこかの老舗銘菓とは大きな違いである。凶悪犯罪が日々横行する日本でこんな素敵な触れ合いがあれば、人に危害を与えたくなる衝動なんてなるだろうなと、すっかりこの街が好きになった。

地方経済の疲弊がクローズアップされてから何年が経つだろう?新幹線の停車駅からそう離れてはいないこの名湯の地がシーズンオフでもない3月にここまで閑散としているとは想像すらしなかった。鳴り物入りで造られたであろう、公共の箱もの施設は温泉街に似つかわしくない鮮やかな色の外壁が煤け空虚感が漂う。
地方行政の無策を象徴しているようであった。しかし、古川にトヨタ自動車系列のセントラル自動車が車体組立工場を建設することが決まったことからまたかつての活況を取り戻すだろうと期待する。つい2月末は日本で最も空港に近い温泉である函館の「湯の川温泉」に行って来たが、地の利の良さからか、ホテルは台湾人や韓国人で溢れかえっていた。公共投資依存から脱却し、民間やアジアからの需要をどう取り込むかが地方再生では求められているのだろうと、硫黄の湯に陶酔しながら考えた。

By 温泉美男子

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