2005年12月のジェイコム株の誤発注に絡み10分で20億円を稼ぎ一躍有名になったジェイコム男ことBNFさん(日経金融新聞ではKさんと紹介されている)は、2000年10月にアルバイトで貯めた164万円で株取引を始めた。以後、幾多の難局をくぐり抜け、昨年12月に運用資産は185億円に達した。約7年間で元手を1万倍以上に増やしたネットトレーダーの神だ。1月の株式市場の急落も乗り切り、1月下旬頃には運用資産は194億円に達していたことが確認されている。もうすぐ、ベア・スターンズだって買えると思っていたら、一部情報によると2月末には157億円まで減らしてしまったようなのである。どうしたんだ!神も間違えることがあるのか!?
折も折、経済産業省の北畑隆生事務次官が、1月25日に都内で開かれた講演会でデイトレーダーについて、「本当は競輪場か競馬場に行ってた人が、パソコン使って証券市場に来た。最も堕落した株主の典型だ。能力がないという意味ではバカ。すぐに売れるということで浮気者。無責任、有限責任で配当を要求する強欲な方だ。バカで浮気で無責任だから議決権を与える必要はない。」などとの発言をしたと、2月8日に各種メディアは報じた。
この発言に対するコメントを求められたBNFさんは理路整然と冷静に反論している(厳密にはBNFさんの運用スタイルはデイトレードより投資期間の長いスイングトレードだが)。以前、テレビ東京の「給与明細」という番組でBNFさんを見た
ことがあるが、なかなかの人物だ。昼食は満腹による集中力の欠如を避けるためカップ麺で済ませるなど日々の生活は至って質素(贅沢といえば、港区の高層マンションをたった4億円で購入したくらい)。キャバクラにも行ったことがないという。痺れるようなプレッシャーと闘って稼いだ金をそんなことに使う気にはなれないそうだ。ノーパンしゃぶしゃぶの顧客名簿に名を連ねていたといわれる次官が、身銭を賭けているデイトレーダーを堕落していると言うのはブラック過ぎよう。
小泉構造改革の揺り戻しから政官界の抵抗勢力が勢いを増していることを象徴するような経済官庁トップの発言は、外国人投資家による日本株の見切売りを加速させたと言われている。これがBNFさんの運用に影響を与えてしまったのだろうか?
BNFさんはやめるときは、大きくもうけた、あるいは損したときではなく、体力的な衰えを感じた瞬間だろうと言う。BNFさんはこの3月で30歳になった。
BNFさんがマーケットから去ると東証1部売買代金は1%減少する。
Written by ニアプライム